通常の軍の作戦行動は予め決められた陸海空といった軍団編成で行われ、師団、大隊、中隊規模で行われる。特殊作戦においてはデルタフォースやネイビーシールズといった個々の特殊作戦部隊が担う。しかし、緊急性や専門性が必要な任務(タスク)や個々の部隊では対応しきれない作戦においては部隊の垣根を越えて複数から隊員が集められ、一時的な混成部隊を編成することがある。これをタスクフォース(Task Force)という。
タスクフォースの歴史
このタスクフォースの概念は米海軍が発祥といわれている。第二次世界大戦時まで各艦隊毎に船舶編成がなされていたが、第二次大戦では航空母艦や潜水艦の台頭もあり海上作戦は多用化していた。そこで、正式かつ恒久的な艦隊の再編成を必要とせずに、作戦毎に異なる艦隊や部隊からの船舶を編入させることを容易にし、かつ、作戦任務の完了後に容易に解散することができるようにするタスクフォースの概念を取り入れた。これが非常にうまく機能し、第二次世界大戦の終わりまでに、アメリカ海軍だけで約100のタスクフォースが作られた。当時は海軍内のみであったが、現在は陸海空軍において横断的に編成されることもある。
近年のタスクフォース部隊
タスクフォース1-41歩兵連隊
湾岸戦争中の1991年1月~3月にかけて米陸軍の第1大隊を中心に編成されたタスクフォース。タスクフォース1-41歩兵連隊は、1991年2月15日にサウジアラビア国境を突破してイラクに入った最初の連合軍になる。 1991年2月17日にはイラク軍と直接および間接的な̠火線を交える地上戦闘作戦を行った。
参加した部隊
・第1大隊 41歩兵連隊 B中隊
・第1大隊 41歩兵連隊 C中隊
・第3大隊 66装甲連隊 A中隊
・第3大隊 66装甲連隊 B中隊
・第317工兵大隊 D中隊
・第9工兵大隊 D中隊
・第3防空第2大隊C砲兵隊第3小隊
・第3野戦砲兵第4大隊火力支援部隊
・2つの地上支援レーダーセクション
・第498支援大隊システムサポートチーム
タスクフォース121
イラク戦争中の2003年12月13日に実施され軍事作戦「レッド・ドーン(Red Dawn)作戦」のために編成された特殊部隊によるタスクフォース。作戦が行われたイラクのチクリット近くの小さな町はフセイン大統領の生まれ故郷になり、ここでタスクフォース121は逃亡を続けていたフセインを捉えることに成功した。
参加した部隊
・デルタフォース(米陸軍)
・シールチーム6-DEVGRU(米海軍)
・第75レンジャー連隊(米陸軍)
・第160特殊作戦航空連隊(米陸軍)
・中央情報局 特別活動部(CIA)
・INSCOM(アメリカ陸軍情報保全コマンド)
タスクフォース・レザーネック
アフガニスタンで活動するために2009年に米海兵隊にて編成されたタスクフォース。2009年7月にはファルージャでの「ストライクオブザソード(Strike of the Sword)作戦」、2010年にはアフガニスタン最大の作戦「モシュタラク(Moshtarak)作戦」に参加した。途中、編成は変わるも2014年までレザーネックという名で編成されていた。
参加した部隊(ストライクオブザソード作戦)
・第10海兵隊師団(司令部)
・イギリス空軍 第34航空連隊
・第3海兵連隊
・第2突撃水陸両用大隊 D中隊
・第2軽装甲偵察大隊
・第2偵察大隊
・第2航空海洋砲火連絡中隊
・海兵隊航空機グループ40
・第2戦闘歩兵連隊
・第5戦闘歩兵連隊
・第6戦闘歩兵連隊
・第1海兵隊師団
・第31グルジア大隊
タスクフォースはビジネスシーンでも使われる
今では軍だけではなくビジネスシーンでも使われる言葉になり、会社の不祥事や新プロジェクトを対応するために各部門から召集したメンバーたちをタスクフォースという会社も多い。仕事で部門混成のプロジェクトチームを作る機会があればタスクフォース○○という名を付けてみてはどうだろう。