空母ジョン・F・ケネディは解体され、キティホーク級からジェラルド・R・フォード級に生まれ変わる

空母ジョン・F・ケネディは解体され、キティホーク級からジェラルド・R・フォード級に生まれ変わる
US Navy

第35代大統領の名が名付けられた最初の空母であるキティホーク級航空母艦ジョン・F・ケネディ(CV-67)は解体のため、最後の航海に出発した。同艦はその役目を完全に終える事になるが、その名は現在、就役に向け、試験中のジェラルド・R・フォード級航空母艦の二番艦に受け継がれる。

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1月16日、キティホーク級航空母艦ジョン・F・ケネディ(CV-67)は解体のため、係留されていたフィラデルフィアの海軍非活動艦艇整備施設(NISMF)からテキサス州ブラウンズビルに向けて曳航される形で最後の航海に出発した。2007年に退役した同艦はモスボール化の上、長らく記念艦として利用可能な「寄贈保留」として保管されていたが、2017年に解体が決定。しかし、解体費用の高騰もあり、海軍海洋システムコマンド(NAVSEA)は2021年に同艦をEuropean Metal Recycling Group(EMR Group)の子会社でテキサス州にある解体業者International Shipbreaking Limitedに1番艦のキティホークと合わせ、それぞれ1セント(1円弱)で売却。キティホークは2023年に解体され、ジョン・F・ケネディは2023年後半から解体が始まる予定だったが、海軍は一旦、それを保留。今回、ようやく解体が始まる。

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キティホーク級航空母艦ジョン・F・ケネディ(CV-67)

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1964年10月に起工したキティホーク級航空母の4番艦(CV-67)には、第二次世界大戦中に海軍中尉として太平洋戦争に参加。そして1961年に第35代アメリカ大統領に任命され、在任中の1963年11月に暗殺されたジョン・F・ケネディに敬意を表し、その名が命名される事が決定。1967年5月に行われた進水式ではケネディ氏の妻ジャクリーン・ケネディとその9歳の娘であるキャロラインによって大統領の名が命名され、進水した。同艦は当初、最初の原子力空母として建造される予定だったが、財政的な問題もあり通常艦に変更。ただ、その関係でそれまでのキティホーク級と若干仕様が異なっていることもあり、ジョン・F・ケネディ級空母とも呼ばれている。次のエンタープライズ級から、空母は全て原子力を動力としており、ケネディはアメリカ海軍最後の通常動力型空母になる。

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1968年9月に就役すると、最初は地中海に配備され、第四次中東戦争などに関与。その後、インド洋に配置転換され、中東における任務に就いた。1991年の湾岸戦争では口火となる「砂漠の嵐作戦」から参加し、合計114回の攻撃を実施、艦載機は2,895回の戦闘出撃を行い、合計11,263時間の飛行を行った。約40年に渡る任務を終え、2007年に退役すると、予備艦隊としてモスボール化保管されると共に記念館としての利用が検討され「寄贈保留」として保管された。博物館としての利用も検討されたが2017年に解体が決定された。

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ジョン・F・ケネディの名は後継艦に受け継がれる

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解体が始まることで空母ジョン・F・ケネディは完全にその役目を終えるが、同艦の名は既にアメリカ海軍の最新空母であるジェラルド・R・フォード級の二番艦に受け継がれている。ただ、最初からその名で決定していたわけではない。最初のジョン・F・ケネディ空母が退役した同年の2007年12月、真珠湾攻撃66周年の式典で、アリゾナ州選出の下院議員ハリー・ミッチェルは、真珠湾攻撃によって沈没した戦艦アリゾナから「アリゾナ」と命名することを提案。その後、アリゾナ州選出の上院議員だった「バリー・ゴールドウォーター」に変更される。しかし、最終的な命名権をもつ米国防省と海軍はジェラルド・R・フォード級の二番艦に二隻目となる「ジョン・F・ケネディ (CVN-79)」と名付ける事を決定。同艦は2015年8月に起工され、2019年10月に進水、現在、就役に向けて試験中だ。しかし、就役は当初の予定より1年遅れており、今年2025年中を予定している。結果、1隻目のジョン・F・ケネディの解体年と合わさる事になり、2隻のジョン・F・ケネディ空母が同時期に存在する事は無くなりそうだ。

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