ジェラルド・R・フォード級の就役遅れに伴いニミッツ級一番艦と二番艦の退役は延長される 

ジェラルド・R・フォード級の就役遅れに伴いニミッツ級一番艦と二番艦の退役は延長される 
ドワイト・D・アイゼンハワー(US Navy)

ジェラルド・R・フォード級の二番艦USSジョン・エフ・ケネディ(CVN-79)の就役遅れに伴い、ニミッツ級の一番艦USSニミッツ(CVN-68)と二番艦USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)の退役計画が延長される事が分かった。

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ジェラルド・R・フォード(US Navy)

2017年7月にジェラルド・R・フォード級の一番艦が就役したことにより、アメリカ海軍の原子力空母は新しい時代に入り、1975年に一番艦が就役したニミッツ級は今後、順次退役していくことが決まっている。2022年4月に米海軍はニミッツ級一番艦のニミッツ(CVN-68)を就役から50年を迎える2025年に退役させると発表。1977年に就役した二番艦ドワイト・D・アイゼンハワーについても同じく50年を迎える2027年に退役を予定していた。これらの退役はジェラルド・R・フォード級の就役計画に沿って行われるもだが、同級の就役遅れに伴い、退役計画も延長されている。2023年、海軍はフォード級空母二番艦のジョン・エフ・ケネディの納入と生産の遅れにより、ニミッツ級空母2隻の退役日をそれぞれ1年延期されると発表した。ニミッツは2026年に退役し、アイゼンハワーは2028年に退役する予定となった。しかし、ジョン・エフ・ケネディの受け渡しが更に遅延することが判明。2024年6月から2025年7月と1年延期された。ニミッツは予定通り、2026年に退役するも、延期に伴いアイゼンハワーの退役は1年延期され、2029年となった。

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これはフォード級三番艦のエンタープライズ(CVN-80)の開発にも影響してくると思われる。エンタープライズは2022年8月に起工し、アイゼンハワーが退役するタイミングの2028年の就役を予定していた。米海軍は空母10隻体制が基本だったが、現在はニミッツ級10隻、フォード級1隻の11隻体制になっている。ニミッツ級が退役しても、ジョン・エフ・ケネディが就役するので、今後も引き続き11隻体制だ。しかし、アイゼンハワーの退役が2029年まで延長されれば、エンタープライズが就役する2028年にはニミッツ級9隻、フォード級3隻の12隻体制になる。空母は乗員数だけ3000人、航空要員を含めると5000人規模になり、1隻分の要員を増やすのは容易ではない。とはいえ、計画通りに建造が進まないのが原子力空母であり、フォード級一番艦のジェラルド・R・フォードは2015年に引き渡される予定だったが、実際に就役したのは2年遅れの2017年5月だ。フォード級から新しく実装された電磁式カタパルト(EMALS)とアドバンストアレスティング ギア(AAG)にてこずったと言われている。就役後の試験でもいくつかの問題が浮き彫りになり、実戦配備されたのは5年後の2022年10月になる。二番艦のジョン・エフ・ケネディでも同様の理由で納入が遅れていると言われている。そのため、アイゼンハワーの退役は更に延長される可能性があり、2030年代初頭まで運用されるのでは言われている。ただ、原子力空母の耐用年数は約50年と言われているので、2030年まで運用されると艦齢が53年以上を迎える事になり、耐久性が懸念される。

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