ドイツ軍はアゼルバイジャン軍に勝てないと言っています。それほどドローン兵器は厄介です

ドイツ軍はアゼルバイジャン軍に勝てないと言っています。それほどドローン兵器は厄介です
Photo Baykar

ドイツ連邦軍のとある指揮官は、現代の武力紛争、特に2020年9月から11月かけて、アルメニアとアゼルバイジャンとの間で起きた軍事衝突「ナゴルノ・カラバフ紛争」でのドローン兵器の運用・戦果を研究しており、その研究結果からドイツ軍はドローンに対しての準備ができていなく、失望する結果になると述べた。

「極端に言えば、もしドイツ連邦軍がある特定の紛争でアゼルバイジャン軍と戦わなければならなかったとしたら、その戦いに勝ち目はなかっただろう。」とドイツ国防戦略研究所 (GIDS) の近代戦と新技術の専門家であるマイケル・カール中佐は述べている。

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ドイツ軍はNATO軍の中枢であり、世界15位の軍事力、国内総生産(GDP)でいえば日本に次ぐ4位と大国だ。それに対して、アゼルバイジャンは東欧の小国で軍事力は世界64位、GDPは90位。GDP比でいうとドイツとアゼルバイジャンとでは90倍以上の開きがあり、国力差は比べものにならない。それでも、カール中佐はドイツとアゼルバイジャンが武力衝突すれば負けるかもしれない、それこそ、「(勝つ)チャンスはほとんどなかったかもしれない」とも述べている。「(ナゴルノ・カラバフ紛争では)戦闘ドローンや神風ドローンなどの兵器システムが使用されていたが、もし、我々が攻撃を受けたら十分に自衛することはできなかっただろう。防空の欠如は、軍の足を引っ張ることになるだろう。」と中佐は付け加えた。これは現在ドイツ軍が無人航空機(UAV)と神風ドローンに対抗できる十分な数の防空システムを持っていないという事実によるものだ。

ナゴルノ・カラバフ紛争でアゼルバイジャン軍はトルコやイスラエルから購入した戦闘ドローンや古くなったアントノフAn-2複葉機をUAVに改修して戦場に投入した。これらのドローンは上空からアルメニア軍を偵察、捕捉してミサイル攻撃や砲撃といった間接射撃を支援すると共に、爆薬を搭載した自爆ドローンを戦車や敵陣地に突っ込ませて破壊した。アルメニア軍の200を超える装甲車と陣地がドローンによって破壊されたとされ、アゼルバイジャンの勝利に大いに貢献した。ドローンが捉えた攻撃の一部始終はSNSやYoutubeで拡散され、現代の新しい戦争の形は世界を驚愕させた。

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ドローンの強みは航空機や精密誘導ミサイルと比べて安価に開発・製造できることだ。アゼルバイジャンが使用していたトルコ製UAVの”バイラクタル TB2”は部品の90%以上がトルコ国内で製造され、航空機やミサイルよりも大量生産が容易だ。TB2は既にトルコ、ウクライナ、アゼルバイジャン、カタールの4カ国に160機があるとされ、ポーランドなど他の国も購入を検討している。トルコは既に100機以上TB2を配備している。イランも国産の自爆ドローン「Qasef‐1」を開発製造しており、パレスチナ、レバノン、イエメンに普及している。また、商用ドローンを戦闘用ドローンに変換する技術は、テロリストを含めて広く利用されている。

ドイツの防衛産業はドローンに対抗する術を提供することはできるが、問題は調達になる。数の配備が可能なドローンに対抗するには点での防衛は防げず、面での防衛が必要になる。今の最新のドローンの脅威に対する防衛装備は十分に配備しておらず、数を揃えるには時間とお金がかかる。

現在、UAV・ドローン開発の分野で先行しているのは米国、イスラエル、トルコ、そして中国になる。特に中国は世界市場シェアの79.9%を占め、約400種類のドローンを生産しており、中国人民解放軍は陸海空と数多くのドローン兵器を所有している。

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Source
https://www.dw.com/en/german-chancellor-candidate-backs-higher-military-spending/a-57871197

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