防衛省の発表によれば14日木曜、中国の戦略爆撃機H-6、2機とロシアの戦略爆撃機Tu-95 2機が日本海から東シナ海にかけて共同飛行を行いました。これに対し、航空自衛隊は西部航空方面隊の戦闘機を緊急発進させ、対応します。しかし、そこには通常、このようなシーンで見ることがない機体がいました。爆撃機には戦闘機が直掩機として随伴していたのですが、ロシア側の編隊には航空ショーでも無いのに、派手なペイントを施したSu-35S戦闘機が随伴していたのです。
本日、中国の爆撃機(H-6) x2機及びロシアの爆撃機(Tu-95) x2機が日本海から東シナ海にかけての超l距離にわたって戦闘機等と合流しつつ共同飛行を行った。
— 防衛省統合幕僚監部 (@jointstaffpa) December 14, 2023
これらに対し、#航空自衛隊 の西部航空方面隊等の戦闘機を #緊急発進 させ、対応した。#JASDF #スクランブル pic.twitter.com/VxWIfP1pPT
なんで、こんな派手なペイントかというと、この機体、ロシア航空宇宙軍に所属する展示飛行チーム「ルースキエ・ヴィーチャズィ」に所属する機体。日本でいうと航空自衛隊の「ブルーインパルス」に当たる飛行チームで、海外の航空ショーにも多数出演しており、「Russian Knights」という名でも知られています。
展示飛行チームの目的は自国の空軍の存在を多くの人に知ってもらうため編成された広報部隊になり、軍や国の行事で聴衆の前でアクロバット飛行を行います。通常、戦闘機は視認しにくい、グレーや迷彩塗装が施されますが、展示飛行チームの機体はあくまで魅せる事が目的であり、国旗やナショナルカラーなどを基本色にした派手な塗装をしています。
展示飛行チームはあくまで広報部隊、派手な塗装をしていることもあり、通常、実戦部隊と同じような任務、今回の爆撃機の直掩機のような任務は行いません。では、なぜ、今回、極東の日本海をロシアン・ナイツの機体が飛行していたのでしょう。
推測するにウクライナ戦争の長期化で飛行できる機体が少なくなっているのが原因と思われます。ロシアの戦闘機は前から稼働率が半分を切っていると言われており、更にエンジン寿命が短い上に、今回の戦争によって出動回数が多くなり、機体寿命が短くなっています。現状、動ける機体にかなりのしわ寄せが来ているとされています。そして、平穏な極東に配備してあった航空機の多くはウクライナ及び、西側国境に移動していると思われます。実際、防空ミサイルシステムなどは移されたという報道もありました。
そのような状況で直掩できる戦闘機が無かったため、やむを得ず、ロシアン・ナイツを派遣したのではないでしょうか。展示飛行チームの機体ではありますが、ロシア空軍の戦闘機の中では新しいS-35Sであり、武装すれば、通常の戦闘機と変わりません。ただ、乗っていたパイロットは何を思ったでしょうか。それを見た自衛隊パイロットも目を疑ったでしょう。