アメリカ海軍の海軍海上戦闘センター(NSWC)は、高出力マイクロ波(HPM)指向性エネルギー兵器の研究開発のための新しい部門を創設しました。
レーザー兵器とマイクロ波兵器
米海軍は長らく指向性エネルギー兵器の開発研究を続けてきましたが指向性エネルギー兵器には”高エネルギーレーザー”と”高出力マイクロ波(HPM)兵器システム”という大きく2つの兵器があります。この2つはバージニア州ダルグレンにある海軍水上戦センターダールグレン(NSWCDD)内の統合エンゲージメントシステム部門よって研究開発が進められていましたが、 この部門を2つに分割、”高出力マイクロ波(HPM)兵器システム”に特化した部門を新しく創設します。
これまで高エネルギーレーザーと高出力マイクロ波の研究開発は協力して行われてきました。この2つの技術的関連性は高いですが、前者はいわゆるレーザー兵器で標的に直接的な打撃を与えるの対し、後者は内部の電子回路をショートさせ、ドローンやミサイルといった電子機器を搭載した小型兵器を無効化する兵器となり、目的、用途が異なります。高出力レーザー兵器に比べ、マイクロ波兵器は既に実用化レベルに近いところまで達しており、米空軍で開発されている「Thor」は実戦配備間近です。 NSWCは開発を分割することで研究開発を加速化させる狙いがあります。
Photo US APhoto US Air forceアメリカ空軍研究所(AFRL)が開発した 「THOR(トール)」 は、複数のドローンを一瞬のうちに無効化することができるドローンキラー・UASカウンターです。現在、これに続く[…]
高エネルギーレーザー”と”高出力マイクロ波(HPM)兵器システム” には莫大な開発予算が掛かりますが、1ショットあたりのコストは実弾兵器と比較すればかなりの格安です。その上、マイクロ波兵器は広範囲に照射できるので、より確実にドローンやミサイルを無効化することができます。これからのドローンとミサイルの脅威が増す中、これからの対空兵器として期待されています。
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