米軍は今後、中国の検閲が入る映画はサポートしない!ハリウッドの中国推しはなくなる?

米国防省は今後、中国の検閲が入る映画はサポートしない!ハリウッドの中国押しはなくなる?
© 2022 Paramount Pictures.

米国防省は中国で公開するために、中国の検閲対策を行った映画への支援を禁じる新たな規則を制定した。

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ハリウッドのド派手なアクション映画やSF映画にはアメリカ軍が付き物だ。戦車や戦闘機、軍艦など多数の兵器が登場する。多くはCGだが、中には米軍の協力を得て、実際の兵器を使用することもある。最近であれば2022年に公開された『トップガン マーヴェリック』。この映画はアメリカ海軍の全面協力を得て、実際の空母、艦載機を使用している。2019年公開の米海軍の原潜が主役の『ハンターキラー 潜航せよ』も協力を得て実際の原潜が登場している。しかし、今後、中国への忖度、検閲がある作品はこのような米軍の協力を得ることができなくなる。

Politicoが最初に報じたところによると、この変更は最近、国防総省の指針に組み込まれた。国防総省エンターテインメントメディア責任者のグレン・ロバーツ氏によると、指針に追加された文言は2023年度国防権限法(NDAA)で義務付けられたものだという。それによれば「中華人民共和国政府、中国共産党、または中華人民共和国もしくは中国共産党の指示を受けた団体から、中華人民共和国の国益を促進するために、重大な方法でプロジェクトの内容を検閲するように要求されたことを証明できる証拠、またはその可能性がある作品」については映画、テレビ、ライブ作品への国防省及び、軍の協力が禁止された。

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世界最大の映画市場だった中国

中国の映画市場は2010年代から急成長し、2021年にはアメリカを抜いて世界最大の映画市場となった。この巨大市場をハリウッド関係者がもちろん無視するはずもなく、数年前から中国市場を意識した映画を製作。中国を舞台にしたり、中国人の俳優を積極的に採用した。ただ、なんでもかんでも中国で映画が公開できるわけではない。まず、公開できる海外映画には制限があり、年間120本前後とされる。更に公開するためには国家電影局の検閲を受け、映画上映許可証を取得する必要がある。つまり、中国にとって不都合なことがあれば、ここの検閲で弾かれるか、若しくは上映のために修正を強いられる。この限られた枠と、検閲を通すためにハリウッドは中国を忖度した作品を作り、公開するために、映画の内容を変えるのも厭わなかった。例えば世界的大ヒットした『ボヘミアンラプソディー』。同性愛を禁止する中国では同性同士のセクシャルシーンをカットした。『ドクター・ストレンジ』では登場するデリケートな問題を抱えるチベット人をケルト人という設定に変えている。

トップガンのフライトジャケットから日本の国旗が無くなった
1986年版(左) 2020年版(右)

また、冒頭で述べた『トップガン マーヴェリック』でも、当初は中国に配慮した変更がなされていた。1986年に公開された1作目でマーヴェリックが着ていた彼の象徴ともいえるジャケット。背中には日本と台湾の国旗のワッペンが貼られていたのだが、2作目ではそれが差し替えられていた。これは中国市場を意識したものに加え映画の制作に中国企業のテンセントが資本参加していたからだ。テンセントが資本参加したのはこれだけではない。日本のゲームが題材の『モンスターハンター』やハリウッド版のゴジラシリーズにも関わりある『キングコング:髑髏島の巨神』などいくつもの大作に出資している。このような中国企業のハリウッドへの出資は複数企業によって行われている(『モンスターハンター』は劇中に中国人を揶揄する発言があったとして中国では公開中止に追い込まれた)。しかし、『トップガン マーヴェリック』はコロナで公開が延期、米中間での対立が先鋭化したこともあり、テンセントは撤退。劇場公開版ではジャケットの日本と台湾の国旗は戻っている。中国はコロナで映画市場が大幅に縮小した上に近年の公開映画は8割以上が国産映画になっている。数年前からハリウッド映画では多少無理やり感がある中国の登場。米中の協力が描かれているものが多々見受けられた、今後、そういった作品は少なくなっていくかもしれない。

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