トルコ航空協会(Turkish Aeronautical Association:THK)とウクライナ防衛貿易会社(Ukrspecexport:USE)は共同でロシア製ヘリコプターMi-17の修理・保守サービスを提供する企業を設立します。
黒海を挟んで隣接する両国の関係は良好で、最近でもトルコが自国製のTAIATAK-2攻撃ヘリコプターに搭載するエンジンをウクライナから購入。また、ウクライナはトルコのTB-2ドローンを購入。TB-2はウクライナでの生産も検討されるなど、近年、防衛技術部門における二国間協力は強化されています。その一環として両国で運用するロシア(ソ連)製のMi-17ヘリコプターの修理・保守・近代化改修を行うための会社を共同で設立することを検討。THKとUSEは6カ月の交渉を経て、8月にイスタンブールで開催された第15回国際防衛産業フェア(IDEF 2021)で正式に会社を設立する契約を締結しました。拠点はトルコの首都アンカラに置かれ、保守・修理施設を建設、主にトルコの技術者が関連サービスを実施します。
ズベズダ 1/72 ロシア軍 MIL MI-17ヘリコプター プラモデル ZV7253
Mi-17のオーバーホールにかかる費用は1機あたり250万ドルになります。当初、42万ドルがトルコ、残りの208万ドルがウクライナと作業を行うトルコよりもウクライナの取り分が多かったのですが、新しい契約では折半されるようです。リビア、パキスタン、アゼルバイジャンといった国が潜在顧客として考えられており、近隣諸国だけで1500機の需要があると予測しています。
世界で2番目に生産数が多いヘリMi-17
Mi-17はソ連で開発され、1977年から生産が始まった輸送・多用途ヘリです。ロシア製では最も成功したヘリで現在も生産は続いており、これまで延べ17,000機以上が生産されています。使用する国は旧ソビエト連邦・東側諸国をはじめ、中東、東アジア、アフリカ、中南米と世界中の国で長年活躍しています。つまり、それだけ修理・保守に関して需要がある機体でもあります。ロシアと対立するウクライナは兼ねてから独自にMi-17のオーバーホールを実施。ロシアの協力なしに成功させており、2018年1月には海外向けのサービスセンターも開設、スペアパーツの製造も行うなど、すでに外国の顧客から認識と評価を得ています。トルコとの共同会社の設立により、ウクライナは中東、アフリカにも顧客を広げられることになり、両国にとっては外貨を獲得するチャンスにもなります。今後、次のステップとしてMi-17と同型の”Mi-8”、攻撃ヘリ”Mi-24ハインド”といった他のロシア製ヘリも対象に広げる予定でロシア製ヘリの修理・メンテナンスのハブになることを目論んでいます。もちろん、顧客を取られるロシアにとっては面白くなく、ロシアは怒り心頭のことです。