アメリカ空軍はB-1 Lancer超音速戦略爆撃機により多くの爆弾を搭載できるよう、改良を行いテストを行っている。これは中国海軍に対抗するためとされている。
B-1Bランサーのウェポンベイには、最大２４発のミサイルが搭載可能だが、米空軍は機外のハードポイントを追加して更に１２発、計３６発のミサイルを搭載できるようにしている。B-1は現在、空中発射巡航ミサイル（ALCM）のAGM-86Bで８発、AGM-129（ACM）で４発、短距離攻撃ミサイル（SRAM）のAGM-69で２４発を搭載することが可能だが、搭載量を増やした上で新しい長距離対艦ミサイル（LRASM）と統合空対地スタンドオフミサイル（JASSM）をB-1Bの主力兵装にしたいと考えている。
JASSM
統合空対地スタンドオフミサイル（JASSM）ことAGM-158はロッキード・マーティン社が開発したステルス型の長距離空対地ミサイル。４５０ｋｇの巨大な弾頭を搭載。射程は標準型で３７０ｋｍ、射程延長型のJASSM-ERで９００ｋｍ以上とスタンドオフ攻撃が可能。投下されると翼を展開し、巡航速度９００ｋｍ/ｈの亜音速で飛行する。ステルス性を備えたボディを備え、レーダーを避けるため低空を飛行。GPSで誘導されると終末誘導は赤外線シーカー、画像認識システムによって標的を識別して攻撃を行う。慣性誘導システムもあるのでGPS妨害にあっても目標まで飛行できる。またデータリンク機能によりオペレーターが途中で軌道修正したり、目標を変えることも可能だ。
LRASM
LRASM（ロラズム）ことAGM-158CはJASSM-ERの発展型でHARPOON（ハープーン）の後継として開発された長距離巡航/対艦ミサイル。水上艦でも運用可能でその場合の射程は５６０ｋｍ、空中発射で８００ｋｍになる。JASSMの機能に加え、AIを搭載し、更にレーダー探知機、衛星データリンクターゲティングによる敵の防空を検出して回避する機能に船舶目標認識機能とより、目標の認識と識別能力がアップしている。
対中国を睨んだアップグレード
B-1Bには当初、核ミサイルを搭載するために６つのハードポイントがあったが、戦略核兵器削減条約(START)に基づいて航空機の核任務が中止された際にハードポイントは不活性化されていた。今回、それを復活させる形だ。今回のB-1Bの改修は対中国、特に近い将来、米軍を超えるとされる中国海軍をにらんだものとされる。中国海軍の055型や052型駆逐艦は世界有数の性能を持っており、防空能力も高い。そう簡単に撃沈することはできない上に、有視界戦ではこちら側の被害も甚大。しかし、スタンドオフによるミサイルの飽和攻撃ならどうだろう。例えば、改修された５機のB-1Bランサーが居れば、計１８０発のミサイルを同時発射できる。どんな優秀な防空システムでも迎撃率は１００％ではない。９割が撃墜されても、１８発が着弾する。
B-1Bは２０２１年に１５機が退役し、現在、４２機が運用状態にある。しかし、２０３０年代には全機が機体寿命を迎える予定で全機退役。その座を現在開発中のステルス戦略爆撃機B-21レイダーに譲ることになっている。
Source
Air Force wants to load up B-1B Lancer with more bombs than ever (taskandpurpose.com)
This Deadly Version of the B-1 Bomber Could Kill Aircraft Carriers (popularmechanics.com)
