米国の国家軍事安全保障委員会は、2013年から2020年12月1日までの期間における米軍航空の非戦闘による損失の集計を発表しました、そのレポートによると米軍は8年間で186機の航空機と224人のパイロットを失いました。
186機の航空機と224人のパイロットを失う
同委員会の調べによると、2013年から2018年までの6年間で米軍内において6000件の非戦闘関連の航空事故が起き、各種航空機157機と198人のパイロットが失われました。失われた航空機の総額は94億ドル(約1兆円)にのぼります。2019年から2020年の2年間においては航空機29機とパイロット26人を失い、損害は22.5億ドル(約2400億円)にのぼります。合計するとその数は2013年から2020年12月1日までの間に、米軍航空の戦闘外損失は航空機186機とパイロット224人にも及び、損失した航空機の総費用は116.5億ドルにものぼります。
レポートでは、飛行要員の訓練コストが高いにもかかわらず、米軍機の戦闘外での損失が大きすぎると強調しています。例として、戦闘機と爆撃機のパイロットの訓練費用が示されています。F-16戦闘機の操縦資格のあるパイロットの基本的な訓練費用は560万ドル、F-22は1090万ドルと見積もられています。 これが爆撃となるとB-1爆撃機のパイロットの訓練費用は730万ドル、B-52は970万ドルと見積もられています。軍用輸送機のパイロットの訓練費用はこららよりも安価でC-17のパイロットで110万ドル、C-130Jは250万ドルです。偵察機と早期警戒管制機のパイロットの訓練には平均550万ドルの費用がかかります。
しかし、2013年に行われた予算削減によって、人員、飛行時間、整備は削減され、航空部門はより少ない費用でより多くのことを行う必要がありました。結果、その後何年にもわたって、何千人もの経験豊富なパイロットや整備士が、軍を去って民間航空会社に転職しました。彼らの退職は、残った人々の仕事量をさらに増やしました。この予算と人手不足が人的要因による事故の増加を増やしたと、ある空軍整備士は述べています。また新人パイロットの訓練飛行時間が短く、経験豊富な教官パイロットが少ないため、その代償も払っているとも報告書は指摘しています。
戦争より多い被害
2003年から始まったイラク戦争。2009年2月までの7年間で米軍は24機の航空機を失いました。その他129機のヘリコプターを失っており、航空機とヘリコプターを合わせると計153機を失っています。戦時下でこの数です。如何に戦闘外での航空機の損失が多いかが分かります。