アメリカ海兵隊は新しい携行式ロケットランチャー”M3A1 マルチロール対戦車兵器システム(Multi-Role Anti-Armor Anti-Personnel Weapons System:MAAWS)”の受け取りを開始しました。これにより海兵隊は都市環境において追加の防御と殺傷能力を得ます。
米海兵隊のニュースリリースによると、海兵隊システム司令部は5月、ノースキャロライナ州キャンプ・ルジューンの歩兵部隊に最初のM3A1 MAAWSを配備しました。MAAWSは、肩に担いで発射する肩撃ち式の多目的ロケットランチャーで再装填可能な無反動砲になります。スウェーデンのSAAB・ボフォース・ダイナミクス社が開発・製造しており、「カールグスタフ無反動砲」という名で広く知られています。
Mk 153 SMAWの後継
米海兵隊では1984年からMAAWSと同じ肩撃ち式のマルチロールロケット無反動砲「Mk153 SMAW」を使用していきました。しかし、採用から40年近く経たこともあり、性能は陳腐化。後継の兵器を検討していました。MAAWSはSMAWの同じ再装填可能な無反動砲ですが、MAAWSは有効射程や光学機器の改善、軽量化、砲弾の多様化など、いくつかの改良が加えられています。
M3A1 MAAWSには高度な射撃制御システムが搭載され、移動体に対する命中率が向上されています。また、このシステム不具合時のバックアップ用としてオペレーターが使用する予備のリフレックスサイトが搭載されています。使用できる弾薬はSMAW同様に対戦車弾、装甲貫通弾、気化弾など敵の要塞や掩蔽壕、装甲車両を破壊する目的の弾薬の他に、照明弾やスモーク弾といった間接支援弾、更にエアバースト弾の使用が可能になっています。飛距離も大幅に改良されています。具体的な飛距離の情報はまだありませんが、米陸軍が使用するカールグスタフM4 (M3E1)の有効射程が1000mなので同様の飛距離を有していると目され、これはSMAWの500mの倍です。
米海隊は近年、戦車大隊を廃止するなど部隊をよりコンパクト化し、機動力の向上と部隊機能の多用途化、いわゆる諸兵科連合に力を入れています。MAAWSの配備により、分隊レベルで多様な戦況に対応でき、戦場の制御を可能にします。
MAAWSは2023年末までに海兵隊、2024年までに予備役まで受け取ると述べており、2025年までには全ての海兵隊部隊と兵器庫にMAAWSが配備されると推測しています。