
米国製のF-35AライトニングII、ロシア製のSu-57フェロン。両国が誇る第5世代ステルス戦闘機がインドで開催されている航空展示会で相まみえ、両ステルス戦闘機が初めて1つのフレームに収められた。
第15回「Aero India2025」が2月10日からインドのバンガロールで始まった。同イベントはバンガロールのイェラハンカ空軍基地でインド国防省主催のもと2年に1回開催される航空ショーおよび航空展示会になり、各国から30人の国防大臣と43人の軍司令官が参加。合計90か国がこのイベントに参加し、展示会では70機の戦闘機や輸送機、練習機、および 30 機のヘリコプターが展示され、900以上の出展社が最先端の航空宇宙、ドローン、AI、サイバーセキュリティを展示。70万人を超える来場者が訪れる同国最大の航空イベントだ。
インドにSu-57を売り込むロシア
The Sukhoi Su-57 showcases its stealth, agility, and supersonic capabilities at Aero India 2025, highlighting its dominance in next-gen aerial combat.@AeroIndiashow @IAF_MCC @SpokespersonMoD #FlyingDisplay #IndianAirForce #AerospaceLeadership #AviationFuture #AirPower… pic.twitter.com/YUtnseP0Pb
— Doordarshan National दूरदर्शन नेशनल (@DDNational) February 11, 2025
今回、最も注目されているのが、史上初めて、米国のF-35AライトニングIIとロシアのSu-57フェロンという両第5世代ステルス戦闘機が同時展示される点だ。米国のF-35Aは前回の2023年開催時にも参加していたが、ロシアのSu-57の同イベントの参加は今回が初になる。そもそも、Su-57が海外の航空ショーに参加するのは2024年に中国で開催された「珠海航空ショー」が初であり、今回が二度目だ。
Su-57は米国のF-22、F-35に続き、世界3機目の第5世代ステルス機として登場。ロシアは世界で2か国目のステルス機開発国となった。しかし、量産が一向に進まず、その間に中国がJ-20を開発。既に生産数は200機を超えており、Su-57を凌駕。更に2機目の第5世代ステルス戦闘機J-35が就役間近とされている。J-35は海外輸出も計画されており、ロシアはそれに焦っているとされ、海外の航空ショーに積極的に参加するようになったと推察される。インドは軍事的友好国であり、軍事兵器については最大の貿易国になり、インド国内ではSu-30MKI戦闘機やT-90S戦車がライセンス生産されている。ウクライナとの戦争で対外輸出兵器の生産が滞る中、インドとSu-57の共同生産も視野に入れているとされる。ロシアは輸出向けの第5世代ステルス戦闘機であるSu-75チェックメイトを2021年に発表していたが、戦争の影響で新兵器の開発を停止していると言われており、Su-75もストップしていると言われている。今回、展示が噂されてが、無いので、やはり、そういうことなのだろう。
デモ飛行を中止したF-35
Just a normal day at Aero India….
— Vayu Aerospace Review (@ReviewVayu) February 10, 2025
10 minutes ago, it was the Su-57…and now the F-35💕🔥💕🔥
Just how lucky are we attending this spectacle!✌️✌️✌️ pic.twitter.com/5CJbhS47EE
今回、米国はF-35AとF-16を航空ショーに送った。インド空軍では現在、総額200億ドルで114機の多用途戦闘機を取得する「Multi-Role Fighter Aircraft (MRFA)」計画が進行中であり、F-16を開発するロッキード・マーティン社はF-16V(Block70/72)をインド空軍向けに改修した新型戦闘機F-21を提案している。既にインドの防衛企業タタ・アドバンスド・システムズとF-21の共同生産契約を締結、2021年には主翼を生産するなどアピールを見せている。F-35については米国がインドに本気で売り込みをかけているのかは不明だ。F-35はいろいろ規制が厳しく、ライセンス生産や技術移転を求めるインドでは土台に上がらないと言われている。
今回、米国はF-35、F-16のデモンストレーションを行わない事が確認されており、地上展示とフライバイ飛行に限定される。デモンストレーション飛行は戦闘機の運動性、スピードを各国にアピールできる貴重な機会だが、米国はそれをキャンセルした。
アラスカのアイエルソン米空軍基地でF-35戦闘機が墜落
— ミリレポ (@sabatech_pr) January 29, 2025
パイロットは脱出して無事pic.twitter.com/bSMI9PZC6P
理由として推察されているのが直近の1月28日にアラスカ州のアイルソン空軍基地で訓練中のF-35が墜落した事故だ。現在、事故原因を調査中だ。
そして、もう一つ推察されているのがSu-57の参加だ。ロシア戦闘機の低速機動性は世界最高とされており、単発エンジンのF-35に対し、双発エンジンのSu-57の運動性能は遥かに上とされ、不利な比較を避けるためといわれている。F-35の運動性能は第5世代ステルス戦闘機の中で圧倒的に劣るとされている。そもそもF-35の売りは高いステルス性と「空飛ぶコンピュータ」とも言われている高度なアビオニクスです。レーダー、ミサイルが進化した現代において、有視界で戦闘機がドッグファイトをするケースはほとんどない。F-35は敵に見つからず、先に発見し先制攻撃を行う事に重点をおいている。
今回のインドでの航空ショー、インド、米国、ロシアはどのような成果を得られるのだろうか。「Aero India2025」は14日まで開催されている。