米特殊作戦軍はMC-130の水陸両用機モデルMACの開発を行います

米特殊作戦軍はMC-130の水陸両用機モデルMACの開発を行います
US SOCOM

米国特殊作戦軍(USSOCOM) は、中国との 「大国間競争(Great Power Competition:GPC)」時代の作戦展開をサポートするためMC-130Jを水上で離着陸可能にした水陸両用機モデルMACの開発を行うことを発表しました。

今年5月に開催された仮想特殊作戦部隊産業会議(SOFIC)で飛行艇の開発構想が上がっていることが表明されていましたが、あくまで検討段階で、開発計画の是非は慎重に検討されていました。しかし、9月14日に米国空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)がプレスリリースにてMC-130の水陸両用モデルの開発を行うプログラム「MC-130J Commando II Amphibious Capability」、通称”MAC”計画を進めることを正式に発表しました。AFSOCは今後17か月以内にプロトタイプを飛行させることを計画しています。

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MACの概要

MC-130J

MC-130はC-130輸送機をベースにSOCOM用に開発された戦術航空機です。ベトナム戦争時の1966年に最初の機体MC-130Eが導入され、現在は2012年に登場したMC-130Jが運用されています。主に特殊部隊の輸送や潜入任務、航空支援、空中給油などの任務を行います。特殊作戦用の機体ということもあり、整地されていない砂漠や北極の氷上、滑走路の短い空母など、大型機ながら大抵の場所で離発着が可能です。しかし、地球の70%以上を占める水上での離発着だけはできませんでした。MACはこのMC-130Jにフロートを装着し、水上で離発着陸可能な機体に改造します。これにより、運用地域が滑走路の有無に縛られず、海、河川、湖といった水面がある場所であれば、大抵の場所で離発着が可能になり、特殊部隊の遠征能力、柔軟性は格段に向上します。開発されるフロートは「水陸両用フロート(RAFM)」というものでフロートを装着したまま陸上の滑走路でも離発着が可能です。フロート自体は取り外しもできます。

MC-130JMAC
US SOCOM

AFSOCは、空軍研究所の戦略開発計画・実験部長および民間企業と協力して開発を行います。5段階のラピッドプロトタイピングスケジュールを使用して、17カ月以内に運用能力のデモンストレーションを実施する計画です。プレスリリースによると、AFSOCと民間企業はすでに、デジタル試験場(DPG)と呼ばれる仮想環境でデジタル設計、仮想現実モデリング(VR)、およびコンピューター支援設計(CAD)を通じてプロトタイプのテストを実施しています。

インド太平洋での運用を念頭に開発

MAC
US SOCOM

中国の海洋進出が活発化するなか、米軍は現在、インド・太平洋での軍事力の強化、地域特性に合わせた部隊の改編を進めています。大小多くの島々で構成される同地域において、飛行場、港湾施設を備えた島はごく僅かです。米軍はこのような地域でいかに早くを部隊を送り込み、拠点を確保できるかに念頭をおいた編成と兵器の開発を進めています。その点、MACは長距離移動が可能で海上での離発着可能。そして、何より他のユニットの依存せずに単独で任務をこなせるなど、米軍の要件を満たす航空機です。米軍はMAC以外にもDARPAと「地面効果翼機(Wing in Ground Effect Aircraft:WIG)」の開発検討も行っており、インド太平洋は大型航空機が飛び交うことになるかもしれません。

関連記事:米軍・DARPAはエクラノプランの開発を検討しています

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Source
https://www.afsoc.af.mil/News/Article-Display/Article/2774017/teaching-the-commando-new-tricks/

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