イギリス国防省はウクライナで鹵獲、若しくは回収されたロシア軍の兵器を分析していることを認めた。これらの行為は以前から噂れていたが公式に認めるのは初めてだ。
スカイニュースの報道によれば英国国防参謀長である海軍のトニー・ラダギン提督はウクライナで鹵獲または回収したロシア軍の装備を分解し、将来の攻撃に対する防御方法を詳しく調べていることを認めた。「我々はNATOの一員であるため、将来、我々にとって大きな脅威となる可能性のあるロシアの装備を入手した際に、その知識を共有することが非常に重要だ」と述べた。提督は装甲車を例に挙げ、「我が国の科学者は法医学レベルでロシアの装甲車両を解体分析している。ロシアの装甲車両がどのように機能するのか、どうやれば倒せるのか、装甲の強化はどうなのか、どうやって通信を妨害するのか、 どうやって彼らの防御を突破するのか。分析はこういったことに役立つ」とも述べた。NATOの仮想敵国はロシアであり、これらの分析したデータは同盟国間に共有される。
このような行為は戦争では付きものであり、第二次世界大戦下の1942年、アメリカが不時着したゼロ戦を回収。無双を誇っていたゼロ戦を徹底的に分析し、弱点を突き止めた。その後、ゼロ戦の優位性が揺らいでいったのは有名な話だ。
イギリスがウクライナで回収されたロシア軍の新鋭兵器を本国に送り、分析しているというのは昨年から言われており、例えば、撃墜されたロシア軍の第4.5世代戦闘機Su-35の残骸が昨年4月に分析のため既にイギリスのウィルトシャー州ポートダウンにある政府防衛科学技術研究所(DSTL)に送られ、イギリスの科学者と米空軍の担当者によって10日間分析されたあと、更なる分析のためアメリカのネバダ州に送られたいう報道があった。アメリカでもウクライナで鹵獲されたとされるロシア軍のT-90戦車などが確認されており、アメリカでも分析は行われている。
ウクライナで撃墜されたロシア空軍の3機のSu-35フランカーEの残骸はアメリカとイギリスの研究所に送られ科学者によって分析されています。[adcode]mod russiaロシア軍はウクライナ侵攻が当初の予[…]
また、退任を予定しているベン・ウォレス国防長官はウクライナでの戦争を「戦闘実験室」として利用しているという自らの見解を述べた。多少、誤解を生む発言ではあるが、ウクライナの戦場はロシア正規軍相手に自国の兵器が通用するのか確認できる絶好の機会でもあり、分析した結果が正しいかどうかを直ぐに実戦で確認できる。兵器の殺傷能力は正規軍相手に通用して初めてその性能を確認できるが、現代兵器と戦闘できる機会はそうはない。イギリスは2003年のイラク戦争に参加しているが、イラク軍の装備は旧式のソ連製だった。ウクライナではイギリスが提供した対戦車ミサイルのNLAWが近代化されたT-72B3戦車を破壊して、その性能を示した。イギリスはチャレンジャー2戦車の後継であるチャレンジャー3の開発に着手しており、現在、ウクライナに提供しているチャレンジャー2の戦闘結果は今後の開発の大いに参考になる。幸い、これまで西側がウクライナに提供している兵器はロシア軍相手にカタログスペック通り、それ以上の戦果を上げている。逆にロシア製兵器はその性能がカタログスペック以下だったことが露呈している形だ。
Source
https://news.sky.com/story/uk-picking-apart-russian-army-vehicles-captured-in-ukraine-12922603