ウクライナの兵器輸入量は世界3位に、ロシアの武器輸出は大幅減

ウクライナの兵器輸入量は世界3位に、ロシアの武器輸出は大幅減
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ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) のレポートによれば、ロシアの侵攻を受けた昨年のウクライナの兵器輸入量は大幅に増え、世界3位に、逆にロシアは武器輸出を大きく減らしました。

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ソ連時代、戦車やミサイルなどソ連軍の主要な兵器製造を担ってきたウクライナは独立後もソ連から受け継いだ多数の兵器と、開発製造能力を持ち合わせていたため、1991年から2021年末まで、主要な兵器をほとんど輸入していませんでした。むしろ、ソ連崩壊に伴い多数抱えることになった戦車や対戦車ミサイルなどを改修して輸出する側でした。しかし、昨年、2022年2月にロシアの侵攻を受けると一転、輸入側に転じます。2022年はカタール、インドに次ぐ、世界3位に拡大。これはアメリカやイギリス、ポーランドいった西側諸国がウクライナに提供した軍事支援の影響です。侵攻当初は銃火器、対戦車ミサイルのジャベリン、対空ミサイルのスティンガーといった携行式ミサイルが多数提供され、夏以降には自走榴弾砲やHIMARS、戦車といった重火器が多数提供されました。2023年も既にチャレンジャー2やレオパルト2、レオパルト1といった戦車、M2ブラッドレーやマルダーといった戦闘車、数百両の提供が決定しており、今後の戦況次第では更に増える可能性はあり、2023年は更に輸入量は増える見込みです。

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ロシアの武器輸出は大幅減

アメリカと並ぶ武器輸出大国だったロシアは、その輸出量を大幅に減らしています。アメリカとロシアは過去30年間、武器輸出の2強を占めています。減らしたといっても変わらず、アメリカに次ぐ2位をキープしていますが、3位のフランスとは差が縮まっています。アメリカは世界の武器輸出の40%を占めていますが、ロシアの武器輸出は2013~17年の統計と2018~22年の統計との間で31%減少し、世界の武器輸出に占める割合は22%から16%に減少、それに対し、フランスは7.1%から11%に増加しています。

ロシアはウクライナで多数の兵器を破壊されています。その中にはT-90M戦車やSu-34、Su-35戦闘機、Ka-52攻撃ヘリといった先進的な兵器も多数含まれており、ロシア製兵器の評価はがた落ちしています。それは兵器輸出ビジネスに多大な影響を与えています。且つ、ウクライナであまりに多くの兵器を失っているため、自軍の兵器不足に陥り、輸出に回せるほどの余力がほとんどありません。更に今後のロシアの武器輸出の肝となるT-14アルマータ戦車、Su-57ステルス戦闘の量産も一向に進んでおらず、2021年に発表した輸出用第5世代ステルス戦闘機Su-75といった新兵器の開発も進んでいません。今年は更に武器輸出量は減ることになり、その影響は今後数年続くと思われ、武器輸出大国の座を失うことが予想されます。その間に米国とフランスがシェアを伸ばし、最近、輸出を伸ばす韓国といった新興国が対等してくるでしょう。

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https://www.sipri.org/media/press-release/2023/surge-arms-imports-europe-while-us-dominance-global-arms-trade-increases

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