ウクライナはソ連製の防空ミサイルシステムである9K37 Buk(ブーク)から、米国製の対空ミサイルSea Sparrow(シースパロー)を発射させることに成功し、米国から新たな対空ミサイルの支援を受け取ります。
1月6日、米国防総省は、バイデン政権がウクライナに対する30億7500万ドル(4000億円)の追加安全保障支援を確約したことを発表した。2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、アメリカがウクライナへの軍事支援を表明した金[…]
アメリカが先日発表したウクライナへの追加の軍事支援は新たにM2ブラッドレー歩兵戦闘車を送るなど過去最大規模のものになります。そして、その中にはもう一つ新しい兵器としてRIM-7 シースパロー対空ミサイルが含まれています。しかし、Sea Sparrow(シースパロー)は”Sea”とあるように主に艦船用の艦載兵器・艦対空ミサイルです。ウクライナ海軍にはシースパローを搭載できる艦船は残っていません。では、ウクライナ軍はどうやってシースパローを運用するのか?実はウクライナ軍はシースパローを地上兵器として運用できるようにソ連製の中・低高度防空ミサイルシステム9K37 Bukの改修を行い、発射を成功させていました。ウクライナは以前にも米国製の対レーダーミサイルAGM-88をソ連製の戦闘機Mig-29から発射できるよう統合に成功しており、米国の技術支援もあったかもしれませんが、この手の開発には実績があります。ブークからの発射に成功したことでウクライナは台湾に続き、2カ国目のシースパロー地上発射バージョンの運用国になりました。
RIM-7 Sea Sparrow
空対空ミサイルのAIM-7 スパローをベースに艦載用の艦対空ミサイルとして1970年代に米国のジェネラル・ダイナミクス社によって開発、レイセオン社によって製造されている。1976年から米海軍で運用が始まり、現在では日本の海上自衛隊を始め、18カ国の海軍で運用中。セミアクティブレーダーホーミング式の誘導ミサイルで最大速度マッハ3、最大射程は19km。
9K37 Buk
1970年代に開発、1980年代よりソ連軍で運用が始まった移動式の地上型中低高度防空ミサイル・システム。索敵範囲や射程は使用するレーダー、ミサイルによって異なるが、検知範囲は最大85km、迎撃距離は航空機で最大42km、弾道ミサイルで20km。