ウクライナ軍はKS-19 100mm高射砲を保管対象から外し、倉庫から運び出しました。これは同兵器の復活を意味するかもしれません。
Ukrainian KS-19 100mm AA guns taken out of storage. pic.twitter.com/ePXoGQBLg6
— Clash Report (@clashreport) March 19, 2023
SNS上に整然と並ぶKS-19 100mm高射砲の映像が登場しました。これらはウクライナ軍が保有しているものになり、ソ連時代の1947年に開発された同兵器は保管対象で博物館などに展示されていました。SNSなどの情報によれば、KS-19はこの度、保管対象から外れ、倉庫から持ち出されたとされます。これは、KS-19 100mm高射砲の復帰を意味するかもしれません。
KS-19 100mm高射砲とは
KS-19 100mm高射砲は第二次大戦後の1947年にソ連によって開発され、1948年にソ連軍に配備された対空砲です。第二次大戦で既に多くの高射砲が製造されていましたが、高高度化する爆撃機に対抗するため、1万m以上の高度を飛行する航空機を攻撃するために開発されました。その高射距離は時限式信管で高度12,700m、近接信管で15,000mに達し、飛行高度12,000mに達する米軍のB-29爆撃機を射程に捉えました。KS-19は牽引式の重牽引対空砲で牽引用のトラックが必要です。運用には7~15人が必要で、単発ですが、熟練兵であれば1分間で最大15発を発射できます。レーダーとも連携でき、照準の精度が上がっています。ベトナム戦時では北ベトナム軍が使用し、KS-19によって最大飛行高度15,000mを有する、米空軍のB-52戦略爆撃機3機を撃墜しています。1万基以上が生産され、今でも10か国ほどで運用されています。
ロシア軍がウクライナで地上兵器として使用
#Ukraine: Ukrainian forces captured around 7 #Russia-n KS-19 100 mm air defense guns during the offensive in #Kharkiv.
— Arslon Xudosi 🇺🇦 (@Arslon_Xudosi) September 8, 2022
H/t for ID @Rebel44CZ pic.twitter.com/nC9NSQf5vy
KS-19は100mmという大口径もあり、多くの高射砲がそうであったように砲身の角度を下げることで地上兵器としても使用されます。また、専用の装甲貫通弾も製造され、100mm砲と装甲貫通弾は厚さ185mmの装甲(RHA)を1,000mの距離から撃ち抜くことができ、間接射撃であれば、最大21kmの射程を有します。既に高射砲という兵器自体が時代遅れの今では、専ら地上兵器としての使用が主で、登場から70年以上が経ちますが、途上国の軍では未だ現役です。そして、ウクライナに侵攻するロシア軍もKS-19を使用していることが確認されており、昨年9月にウクライナ軍は7基のKS-19をロシア軍から鹵獲しています。
そして、今回、ウクライナ軍もどうやらこれを戦線に復帰させるようです。しかし、ウクライナ軍にはKS-19を配備した記録はなく、1991年の独立後は一度も使われていない可能性があります。そのため、オーバーホールして、まず使えるのかの確認。そして、何より、使用できる砲弾があるのかという懸念があります。ロシア軍からKS-19を鹵獲しているということは砲弾も少なからず手に入れているかもしれませんが、足りないでしょう。ただ、NATO加盟国のルーマニアがまだ運用しているので、提供はあるかもしれません。KS-19の難点は機動力ですが、牽引式のMT-12対戦車砲をMT-LB装甲車に搭載して使用するウクライナ軍なので、カスタムして自走砲化するかもしれません。
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