ウクライナ軍、ロシアに渡る筈だった北朝鮮製のBM-21ロケット弾でロシア軍を攻撃

ウクライナ軍、ロシアに渡る筈だった北朝鮮製のBM-21ロケット弾でロシア軍を攻撃
mod ukraine

アメリカのファイナンシャルタイムズ(FT)の報道によれば、ウクライナ軍はロシア軍に渡る筈だった押収された北朝鮮製のBM-21多連装砲ロケット砲の122mmロケット弾で、ロシア軍を攻撃した。

sponser

FTによれば、ウクライナ東部の激戦地バフムトで旧ソ連製のBM-21多連装ロケット砲を運用するウクライナ軍の砲兵部隊が最近、押収された北朝鮮製の122mmロケット砲弾でロシア軍を攻撃した。北朝鮮製ということもあり、砲弾の不発率は高く、信頼できないため、発射時は近づかないように警告していた。

この砲弾は本来、砲弾不足に悩むロシア軍、そして、ロシア軍から十分な砲弾の供給が無かった民間軍事会社ワグネルに渡る筈だった。ロシア軍は不足する砲弾を補うために北朝鮮から安価な砲弾を買いあさっているという情報は以前からあり、米国防省も指摘、輸出も確認されていた。しかし、今回、鹵獲したBM-21のロケット弾はウクライナ軍が鹵獲したものではなく、ロシア軍が戦場に遺棄していったものでもない。入手経路は少しことなるようだ。報道によれば、砲弾は公海を移動中の船舶から押収したものとされている。移動中の船をウクライナの友好国が押さえ、ロケット弾を押収。その後、ウクライナ領内でウクライナに引き渡された。

sponser

推測するに黒海をロシアに向かっていた商船をトルコが臨検、貨物の中にロケット弾を見つけて押収したのではないだろうか。黒海へ通じるボスポラス海峡は軍艦の通過は禁止されているが、商船の通過は認められている。一応、安全な穀物輸出のため国連とトルコにより、商船に武器や兵士を積んでいないかを共同で検査することができるが、ロシアは度々、中東から武器を密輸しているのが確認されていた。

ただ、この北朝鮮製のロケット弾が北朝鮮から送られたものかは不明だ。ロシアと北朝鮮は陸続きであり、鉄道でも繋がっている。極東から鉄道輸送することも可能で、昨年11月に鉄道によって軍需物資がロシアに輸出されていることが確認されている。北朝鮮は国連安全保障理事会の経済制裁で武器輸出は全面禁止されている。北朝鮮出発する商船は監視されており、公海上で臨検される可能性もあり、陸路の方が確実に移送できる。なので、黒海で押収されたロケット弾は過去に北朝鮮が海外に輸出した物の可能性が高い。ロケット弾の刻印によれば、そのほとんどは1980年代から1990年代に製造されたものだった。

sponser

BM-21 Gradとは

mod russia

BM-21 Gradはソ連が1960年代初頭に開発した122mm自走多連装ロケット砲。シンプルな構造のため、複数の国でライセンス、若しくはコピーが開発製造されており、北朝鮮も3つのコピーを開発している。各国によって多少仕様は変るものの世界でも最も利用されている自走多連装ロケット砲と言ってもいいかもしれない。破片弾やクラスター弾、焼夷弾、地雷散布弾といった様々な弾種があり、射程も砲弾によって異なる。ソ連/ロシア製のものは最大射程30km前後だが、セルビアなどは射程52kmのロケット弾を開発している。ウクライナでも独自の改良型が複数開発されている。

sponser

Source

https://www.ft.com/content/96e1f526-ae3d-4cff-bc37-8f9dd7d5975f

sponser
ウクライナ軍、ロシアに渡る筈だった北朝鮮製のBM-21ロケット弾でロシア軍を攻撃
フォローして最新情報をチェックしよう!