ウクライナ軍、砲弾、兵員不足でアヴディウカでは砲兵も前線に駆り出される

ウクライナ軍、砲弾、兵員不足でアヴディウカでは砲兵も前線に駆り出される
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ロシア・ウクライナ戦争はもうすぐ3年目を迎えるが、未だ激しい戦闘が続いている。両軍共に総力戦になっているが、ウクライナ軍は深刻な砲弾と兵員不足に直面している。

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昨年末からささやかれていたウクライナ軍の砲弾と兵員不足はここに来て更に深刻になっており、特に激戦を極めるウクライナ東部アウディイウカではそれが顕著だ。親ロシア派武装組織が一方的に独立を宣言したドンバス共和国に隣接するアウディイウカは2014年から続く「ウクライナ東部紛争」の最前線であり、ウクライナ軍はその時からここを要塞化して戦ってきた。2022年2月のロシア侵攻が始まった時もここを死守してきた。しかし、ドンバスの完全掌握を目指すロシアは昨年10月中旬にアヴディウカ地区に対して集中攻撃を開始した。

広大な平地が広がる同地域で強固な防御陣地を構えるウクライナ軍は序盤、ロシア軍に壊滅的な打撃を与えた。英国防省によれば、アヴディウカ攻勢を始めた最初の頃、ロシア軍は一日に1000人以上の兵士、50両以上の戦車を損失するなど、ウクライナ侵攻以降、最大の損害を出した。通常、これだけの損失を出せば、撤退するものだが、ロシア軍はそれに怯むことなく損害を顧みない物量戦を展開。徐々にウクライナ軍の損害も拡大、そして、砲弾と兵員が失われていった。

ウクライナメディアのキエフ・インディペンデントの12日の報道によると、アヴディウカに展開するウクライナ軍第59旅団の戦車部隊は昨年、南部ヘルソンで攻勢に出た際、各戦車には120発の砲弾が割り当てられていた。しかし、昨年12月のアヴディウカの戦線では、各戦車に15~20発の弾薬しか割り当てられなかった。同じく同旅団の122mm多連装ロケット砲中隊も、弾薬不足のため一度に一度に1発しか撃てない。本来、40発の一斉射撃が可能だ。精度が低いロケットランチャーは一斉射で面制圧するのが本来の使い方だ。152/155mmといった榴弾砲の弾も不足しており、長距離火力支援が制限されている。

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それに対し、ロシア軍はかつての弾薬不足を解消し、砲兵力を高めている。ukrinformによればロシア軍は弾薬が不足していた2022年末から2023年初頭にかけて、固定砲撃陣地を構築していたと報じた。その間に倉庫に眠っていた砲兵システムを復活させ、不足していた弾薬も量産化体制を整え、更に北朝鮮から砲弾を購入。122mm/152mm砲弾、125mm戦車砲弾などを100万発以上が北朝鮮からロシアに移送されとされている。

砲兵戦力を増やしたロシア軍に対し、砲弾が不足するウクライナ軍は効果的な対砲兵射撃ができていない状況で、ウクライナ軍陣地は一方的な砲撃を受けている。ウクライナ軍は不足する砲弾を補うために自爆ドローンを活用しているが、小型の自爆ドローンの有効範囲はせいぜい数km。ロシア軍の砲兵陣地は10~20km以上離れており、反撃することができない。フォーブスの報道によれば、昨年夏頃の砲兵能力は両軍とも互角だったが、現在、ロシア軍は砲弾を1日に約1万発、消費しているのに対して、ウクライナ側は約2000発程度にとどまっており、その差は5倍に開いた。

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また、ウクライナ軍は前線の歩兵も不足しており、砲弾不足も相まってか、歩兵不足を補うために砲兵を前線に配置した。キエフ・インディペンデントによれば、第59旅団の64名の砲兵隊員の内、15名が前線に配置転換になった。しかし、歩兵としての専門的な戦闘訓練を受けていない彼らのほとんどは数日の内に多くが戦死。15人中生き残ったのは僅か4人だった。先日、解任されたザルジニー前総司令官は兵力不足のため大幅な動員をかけることをゼレンスキー大統領に訴えていた。それに対し、ロシアは数十万人規模の動員をかけ、僅かな訓練期間で大量の兵を送り込んで、人海戦術で攻めてくる。西側的な戦術で兵の損失を抑えるウクライナ軍ではこのような戦い方はできない。ザルジニー氏も動員は訴えていたが、戦術は人的損失を抑える事を念頭に置いており、それがあって現場の兵士からは信頼があった。動員をかけても新兵訓練には数か月かかる。NATO諸国はウクライナ兵に訓練を提供しているが、一度に訓練できるのは1~2万程度だ。

欧州は3月までに100万発の砲弾をウクライナに届けると発表しているが、それまでアヴディウカが持つのか、第2のバフムトになるのではと危惧されている。3月にはロシア大統領選が控えており、再選を目指すプーチンがそれまでにアヴディウカを制圧しようとなりふり構わない攻勢をかけるかもしれない。

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