ウクライナ軍、ロシア軍に拿捕された自軍の揚陸艦コンスタンチン・オルシャンスキーを破壊する

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ウクライナ国防省は2014年のロシアによるクリミア侵攻でロシア軍に拿捕されたロプーチャ級大型揚陸艦コンスタンチン・オルシャンスキーにミサイル攻撃を行った事を認めた。ロシア軍は同艦をウクライナとの戦争に利用する準備を進めていたとされている。

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ウクライナ軍は23日土曜、ロシア占領下のクリミア半島セヴァストポリのロシア海軍黒海艦隊の施設と、その他のインフラに対する夜間攻撃を実施した事を発表した。その際、黒海艦隊のロプーチャ級大型揚陸艦アゾフとヤマルの2隻を攻撃したと発表したが、27日には同じくロプーチャ級のコンスタンチン・オルシャンスキーと偵察艦イワン・フルスの2隻の攻撃にも成功していた事を発表した。2隻はウクライナ国産の巡航ミサイル「ネプチューン」によって破壊されたと発表されている。ウクライナ軍は僅か一晩で計4隻の艦船に打撃を与える事に成功した訳だが、その内の1隻「コンスタンチン・オルシャンスキー(Konstantin Olshansky)」はかつて、ウクライナ海軍に在籍、活躍していた船だった。

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ロプーチャ級揚陸艦コンスタンチン・オルシャンスキー

コンスタンチン・オルシャンスキーはロプーチャ級揚陸艦としてソ連時代の1980年に建造され、艦名はソ連海軍歩兵将校コンスタンチン・オルシャンスキーにちなんで名づけられている。黒海艦隊に就役するも、間もなくしてソ連が崩壊。黒海艦隊が分解中の1996年にウクライナ海軍に移管される。ウクライナ海軍時代には2011年のリビア紛争時に外国人の避難任務に参加し、200人を救助している。クリミア半島南部の海軍基地に停泊中だった2014年3月、ロシアによるクリミア侵攻を受け、同艦はロシア軍に拿捕、接収されてしまう。それからこれまで同艦はロシア軍の手中にあった。

ロシア軍に接収されたコンスタンチン・オルシャンスキーだが、船は接収されてから9年間、セヴァストポリ湾に係留されたままで、これまでウクライナとの戦争に投入されることは無く、主に同型艦の修理、修復のためのパーツ取りとして使われていたと言われている。黒海艦隊にはコンスタンチン・オルシャンスキーと同じロプーチャ級揚陸艦4隻、更に侵攻前に他艦隊から5隻が追加されていた。ロプーチャ級自体1970年代に建造が始まった古い艦であり、戦争で半数以上が損傷を被っていた。9隻あったロプーチャ級も運用可能な船は3隻のみとなり、黒海艦隊自体の揚陸艦の数も13隻から6隻に半減していた。

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そのような状況もあり、ロシア軍はコンスタンチン・オルシャンスキーを修理して戦線に復帰させようと計画していたとされている。ウクライナ軍は同艦が自分たちに向けて使用されるぐらいならと、かつての自軍の船への攻撃に踏み切ったとされる。同艦はずっとセヴァストポリに係留してあったので、これまでいくらでも攻撃する機会があった。

ロシアの侵攻当初の2022年3月、ウクライナ海軍はロシア軍によって破壊、または拿捕されるぐらいならとドニエプル川を遡った港湾都市ムィコラーイウに修理とアップグレードを受けるためドッグ入りしていた、当時の海軍の旗艦であるフリゲート艦のヘーチマン・サハイダーチヌイ(Hetman Sahaidachny)を自らの手で沈めている。クリミアを奪還した際にはコンスタンチン・オルシャンスキーもとり戻すつもりだったであろうが、今回、ウクライナ軍は苦渋の決断を行った。

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ウクライナ軍、ロシア軍に拿捕された自軍の揚陸艦コンスタンチン・オルシャンスキーを破壊する
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