アメリカ空軍のトップは7日、2029年までにA-10サンダーボルトII攻撃機を全機退役させる計画であると述べました。長年、米空軍に従事してきたA-10は2020年代に終焉を迎えるかもしれません。
アメリカ空軍参謀総長チャールズ・ブラウン・ジュニア大将は7日火曜、コロラド州で開催されていた米空軍宇宙軍協会の”戦争シンポジウム2023”で「A-10サンダーボルト攻撃機は今後、5、6年以内に全機いなくなるだろう」と2020年代に全機退役させる計画である旨を発表。また、昨年、退役が決定した21機のA-10が今年中に退役することも発表しました。
1977年から運用が始まったA-10攻撃機は間もなく運用から半世紀を迎えようとしています。近接航空支援 (CAS) 可能な機体として長年にわたって地上部隊を支援。イラク、アフガニスタンでも多くの米陸軍兵士と米海兵隊を助け、兵から愛されてきました。しかし、機体は老朽化・陳腐化しつつあり、更に戦闘機や対空兵器、無人機の進化に伴い、その有効性、存在価値は徐々に薄れてきていました。そこで米空軍は機体を削減し、空いたリソースを新しいF-35や無人機に充て替えたいと考え、2014年から5度に渡ってA-10の退役を要求してきました。しかし、その度に米議会で否決されてきました。
USAFアメリカ空軍は幾度にも渡る交渉の末、米議会を説得し、21機のA-10サンダーボルトII攻撃機を退役させることに合意しました。21世紀になって初の退役になります。米空軍は以前からA-10サンダーボルトII攻撃機の大規[…]
A paired launch by the Ukrainian forces from the Igla-1M MANPADS on a Russian Su-25, presumably of the Wagner Group, in the Bakhmut area. pic.twitter.com/R0fJNSrHnm
— Clash Report (@clashreport) December 22, 2022
しかし、今回のロシア・ウクライナ戦争でA-10と同じ設計思想であるソ連製のSu-25攻撃機が携行式対空ミサイル(MANPADS)によって多数撃墜されていることが影響したのか、昨年12月にようやく、議会承認が降り、21機の退役が決定。その21機は今年退役を迎えます。このA-10の退役は21世紀初です。
現在、米空軍と州空軍で281機のA-10を運用中ですが、今回の退役により260機に減少します。残りを2029年までに”0”にするということは、毎年45機ペースで退役させていくことになります。とはいえ、これは空軍の一存では決められず、議会承認が必要であり、これまでの経緯を考えると全機退役はハードルが高いかもしれません。
Source
https://www.aerotime.aero/articles/usaf-to-retire-a-10-by-2029