アメリカ空軍は12月2日金曜、最新鋭の戦略ステルス爆撃機「B-21 Raider(レイダー)」を正式にロールアウトした。
B-21を開発するNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)のカリフォルニア州パームデールで行われた式典は米空軍のFacebookや同社のサイトでライブ配信された。
式典はB-52ストラトフォートレス 、B-1ランサー 、B-2スピリットと現在運用する3機の歴代の戦略爆撃機が飛行する様子から始まり、その後、格納庫のドアがゆっくりと開き、布で覆われたB-21が登場。布を取るとB-21はゆっくりと牽引されながら、建物の外に運び出された。
式典に登壇したオースティン国防長官は「これは単なる飛行機ではありません。これは、私たち皆が愛する共和国を守るというアメリカの決意の体現です」 と述べ、「米国の防衛は常に紛争抑止に根ざしたものになる。したがって、我々は再び、潜在的な敵に対して明らかにしている、攻撃のリスクとコストは、考えられる利益をはるかに上回っている」と演説した。そして、彼はB-21が「低観測技術の 50 年にわたる進歩がこの航空機に取り入れられた」という事実を述べ「最も洗練された防空システムでさえ、上空で B-21 を検出するのは難しいでしょう」と彼は言った。B-21は敵の防空網を突破し、世界中のあらゆる目標に到達できるように設計されており、ノースロップ社によれば、これは現在の爆撃機部隊の約10%でしかできないことである。
B-21レイダーとは
ノースロップ・グラマン社によって開発されているステルス戦略爆撃機。レイダー(Raider)という名は太平洋戦争中の1942年に日本本土を初めて空襲した「ドーリットル空襲(Doolittle Raid)」に参加した「ドーリットル・レイダーズ」にちなんで名づけられている。形状は現在、米空軍が運用しているB-2と同じブーメランのような形状のフライングウィングレイアウトを採用。この設計はステルス性能と耐荷重性に優れ、内部空間を広くとれ、燃料や爆弾の搭載量を増やすことができる。B-21はB-2よりも小型化され、ステルス性や機動力は向上しているがペイロード能力は約半分の13トン前後になり、爆弾の積載量は減っているものの、一機当たりの調達額はB-2の約3分の1に抑えられており、コスト高で132機の生産予定が21機に削減されたB-2に対し、B-21は計100機の調達を計画。ただ、調達額は当初の予定より上がっており、2010年時点では平均 5 億 5,000 万ドルと見積もっていたが、現在は約 7 億 5,300 万ドルと2億ドルも上昇。米空軍は最終的には174機が必要と見積もっているが、B-2の時と同様にコスト高で削減される可能性はある。現在、米空軍では1950年代に運用が始まったB-52、1986年のB-1、そして、1997年のB-2の三機の戦略爆撃機を運用している。B-1とB-2は2030年代に退役を予定しており、B-21に置き換わる予定だ。B-52はエンジン改修を行い2050年まで運用予定される。米空軍は最低175機の爆撃機を必要と算段しており、2030年代以降はB-21とB-52によって編成される。B-21は2022年に初飛行を予定していたが、2023年度以降に延期されている。現在、6機のプロトタイプが生産されている。