米陸軍、将来型攻撃偵察ヘリFARA計画を中止!プロトタイプ完成していたのに

米陸軍、将来型攻撃偵察ヘリFARA計画を中止!プロトタイプ完成していたのに

アメリカ陸軍は開発を進めていた将来型攻撃偵察ヘリFARA(Future Attack Reconnaissance Aircraft)プログラムを中止することを発表した。この計画には既に20億ドルが費やされていた。

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米陸軍は8日木曜、4年という時間、20億ドルを費やし開発してきた将来攻撃偵察ヘリ(FARA)の開発を中止する事を発表した。米陸軍は2018年から「AH-64アパッチ」および「OH-58Dカイオワウォリア」に代わる偵察攻撃ヘリの後継機を開発する「将来型攻撃偵察ヘリ(FARA)」計画を進めてきた。しかし、その間、戦争の形態は変わり、一部の軍高官はメディアの取材に対し、「優先順位の変更」が計画中止の主な理由だと語った。陸軍参謀総長のランディ・ジョージ大将は声明で、「われわれは戦場、特にウクライナでの航空偵察が根本的に変わったことを学んでいる」と述べた。FARAはこれまで少なくとも20億ドルの予算を費やし、開発を進める上で今後5年間でさらに50億ドルが必要であることが判明し、プロジェクトの中止を決定した。その分の予算とリソースを新しい無人システム、既存回転翼機にさらに投資することを選択すると述べた。

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また、陸軍は、FARAの開発を終了することに加えて、ブラックホークヘリのUH-60Vバージョンの生産も2025年で中止すると発表した。UH-60Vは2020年に就役したばかりの最新アップグレード版。1989年から2007年に掛けて生産されたUH-60Lをアップグレードする形でアナログ機器を全てデジタル近代化している。米陸軍は2,000機あるブラックホークのうち、約760機をUH-60Vに転換し、最終的に1,375機のUH-60Mと760機のUH-60Vを配備することを最終目標としていた。UH-60Mの生産は続く予定だ。2022年12月にはブラックホークの後継機となるティルトローター機「V-280 Valor」の採用が決定。2030年頃の就役を予定している。

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FARAとは

FARAは複雑化する現代の戦闘において、アビオニクス(電子機器)によるサイバー強化と広大な戦場を横断する作戦行動能力 、敵の対空防御を突破するための速度を併せ持った攻撃偵察ヘリを開発するプログラムで「AH-64アパッチ」および「OH-58Dカイオワウォリア」の後継機を決める計画になる。米陸軍は次世代機に180ノット(330km/h)以上の巡航速度を要求、戦闘半径は250kmであり、かつ、少なくとも90分の飛行時間を有するものを求めた。2023年にプロトタイプのテスト飛行を行い。2028年に量産、配備することを計画していた。2020年3月にTextron社傘下のBell(ベル)とLockheed Martin社傘下のSikorsky(シコルスキー)の2社に絞り込まれ、プロトタイプの開発が進められていた。

Bell 360 Invictus

©Bell

Bell社は360 Invictusを開発。機体はタンデム型の二人乗り。コックピットに下には20mm機関砲が備え付けられている。機体中央にある左右のスタブ翼は中速〜高速時に機体重量の約50%に相当する揚力を得ることできる想定されている。 四枚羽のローターブレードの直径は40フィート(12m)、これはローターの直径がFARAの要件によって定められており、基地の建物内に回転翼が収まるように最大直径が指定されている。 後部にはシュラウド付きの傾斜したテールロータがある。ミサイルはウェポンベイに格納され使用時に開く。 照準光学系および/またはレーザ指示器も備えている。

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Sikorsky RAIDER X

シコルスキーが米陸軍の次世代戦闘ヘリ候補「Raider X」のプロトタイプ初号機を発表
©Sikorsky

シコルスキー社はRAIDER Xを開発。機体の特徴は二重反転式ローターの「アドヴァンスト・ブレード・コンセプト・ローター」にと推進式のテールローター「プッシャープロペラ」になる。この2つの回転ローターが高速化を実現する。既にテスト飛行で時速180km/hを記録しており、最高速度250ノット(460km/h)まで上げる事を目標としている。乗員はパイロット2名。武装は機関砲にウェポンベイに格納されたミサイル。機体にはAH-64D ロングボウ アパッチにも使われているミリ波レーダーなど、高度なセンサー、中央ネットワークハブが搭載される。機体に使われている最先端のデジタル設計と製造はCH-53K、F-35、CH-148 などの他の生産プログラムですでに使用されており、陸軍は調達コストを削減するだけでなく、迅速な生産とアップグレードを手頃な価格で提供できる。2023年10月にはBell社よりも先に初号機となるプロトタイプをお披露目しており、FARAの最有力だった。

FARAの中止はこの二社に深刻な影響を与えることが予想されている。FARA搭載用に開発されていたゼネラル・エレクトリック社の改善型タービン・エンジン・プログラム「T91ターボシャフト・エンジン」の開発は引き続き行われる予定で、これは既存のAH-64とUH-60に統合される予定だ。

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Source

https://www.reuters.com/business/aerospace-defense/us-army-ends-future-attack-reconnaissance-aircraft-program-2024-02-08/

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