米軍、V-22オスプレイの調達終了。不具合多発も原因か

米軍、V-22オスプレイの調達終了。不具合多発も原因か
US Navy

アメリカ軍はティルトローター機であるV-22オスプレイの調達を現在、契約中の機体の納入をもって終了します。同機は垂直離着陸可能ながら、固定翼機並みのスピードと航続距離を持ちますが、問題が多発していました。

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Military.comの報道によれば、V-22オスプレイを運用する海軍、海兵隊、空軍の3つの軍はこれ以上、同機を購入しないと述べています。米軍は2021年度の予算請求で承認された機体以降、追加注文はなく、今後の調達の計画も無いと述べており、現在、生産中の海兵隊用と海軍用の機体の2025年の納入をもって、米軍用の機体の生産は終了することになります。軍は464機のV-22オスプレイを必要としており、そのうち360機が海兵隊用のMV-22、48機が海軍用のCMV-22、56機が空軍と特殊作戦司令部(SOCOM)用のCV-22になります。しかし、空軍とSOCOMは現在の54機で輸送要件を満たしているとして、計画していた数よりも2機少ない形で調達を終了します。調達は終了しますが、2050年代まで運用される予定です。

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不具合多発も原因か

水平飛行するMV-22
US Marine

調達終了の理由は十分な数に達したというのが理由ですが、不具合の多発も要因とされています。V-22は垂直離着陸とホバリング、直線飛行を可能なティルトローター機ですが、それを実現しているのが傾斜可変機能を備えたエンジン・ナセルで垂直から水平に可変することで実現しています。しかし、これにより、構造が複雑になっており、開発から度々、不具合が起きています。昨年8月にはエンジンとプロペラローターをつなぐギアボックス内のクラッチエンゲージメントに不具合が多発、これにより2つのエンジンのパワーバランスがとれず、左右の機体バランスが取れず危険な問題につながり、事故が起きる可能性があります。この時、空軍は安全検査のため全機のCV-22の運用を停止します。これは部品の摩耗速度が想定よりも早いことが原因とされ、クラッチを内蔵する”インプット・クイル・アセンブリ”の交換のため、今年の2月に全軍で一定の飛行時間を超えた機体の飛行停止、部品交換を行っています。これらの不具合は2017年から確認されており、度々の不具合でV-22のメンテナンスコストは上がっています。

米軍はUH-60ブラックホークの後継として、同じティルトローター機であるV-280の採用を決定しています。同機はV-22と違い、エンジン・ナセルを固定、ローター部分のみ可変させているので、V-22と比べ可動部分を少なく構造を簡単にしています。

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V-280がUH-60ブラックホークの後継に決定
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Source

Military Quietly Stops Buying Ospreys as Aircraft Faces an Uncertain Future

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