米国は中東で押収したイラン製武器をウクライナに送ることを検討

米国は中東で押収したイラン製武器をウクライナに送ることを検討
US Navy

アメリカはイランからイエメンへ密輸されようとしていたとして押収していた武器と弾薬をウクライナへの軍事支援として提供することを検討しています。

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ウォール・ストリート・ジャーナルやロイターの報道によると、米国の国防当局者は、ウクライナがロシアの侵略に対抗するのを支援すべく、アメリカがアラビア湾、オマーン湾といった中東の海域で密輸船から押収したイラン製の5,000丁以上のアサルトライフルと160 万発の小型武器の弾薬を送ることを検討しています。その支援の中には少数の対戦車ミサイル、7000発あまりのロケット弾用近接信管も含まれています。

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イエメンに送られる武器を押収

アメリカ海軍は今年1月、オマーン湾でイランからイエメンへの海上ルートに沿って公海を通過中の漁船を臨検し、2,116挺のAK-47アサルトライフルを密輸しているのを発見し、それを押収しています。これらの武器はイランが支援するイエメンのフーシ派反政府武装組織に送られる予定でした。フーシ派への武器の直接的または間接的な供給、販売、または譲渡は、国連安全保障理事会決議 2216 および国際法に違反します。

中東に展開する米海軍第5艦隊は過去数か月間で、イランからイエメンに武器を密輸している 2 隻の漁船を阻止しています。昨年12月には100万発以上の7.62mm弾を含む、50トン以上の弾薬、信管、ロケット推進剤を押収しました。 11月はロケットやミサイル燃料の製造に一般的に使用される強力な酸化剤過塩素酸アンモニウム70 トン以上、 100トンの尿素肥料を押収しています。 

今年1月にはフランス海軍がオマーン湾で、同じくイランからイエメンのフーシ派反政府武装勢力に向かうイラン製と思われる 3,000丁以上のアサルトライフル、578,000 発の弾薬、および 23発の高性能対戦車誘導ミサイルを押収しています。これら押収した武器は直ぐにでも戦場で利用できる状態です。

これらイランからイエメンに輸送されようとしていた武器のほとんどはソ連/ロシア製兵器をベースにしています。アサルトライフルであればAKシリーズ、対戦車ミサイル/ロケットに関してはRPGシリーズです。弾薬もAK-47やAKMで使用される7.62x39mm弾やNSV重機関銃に使用される12.7mm弾などロシア基準が主です。そして、これらの銃器と弾薬は現在、ロシアの侵攻を受けて戦うウクライナ軍の主要火器の1つでもあります。

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ウクライナ軍の主要武器はソ連/ロシアベース

ウクライナのウクライナ国家親衛隊や領土防衛隊といった準軍事組織の主力小銃はソ連時代の遺物として多数残されていたAKMやAK-74を使用しています。これらAKはロシアと決別すべく西側のAR系ライフルに切り替えられる予定でしたが、その前にロシアの侵攻が始まってしまいました。また東欧、中欧の国には不要になったAKシリーズのライフルが多数残っており、ウクライナはこれらを軍事支援として受け取っています。対戦車ミサイルやロケット弾も侵攻当初、西側のジャベリンやNLAWの活躍が目立ちましたが、最近のバフムトの前線などをみると、RPGの利用が目立っています。

西側の支援を受けるウクライナですが、まだ多くの兵器はソ連/ロシア系です。しかし、アメリカ、ドイツ、イギリスなど主要な支援国はソ連/ロシア基準のこれら兵器を生産する能力をもっていません。生産する能力を持つのは西側でもブルガリア、ルーマニアなどに限られています。そこで、目を付けたのがイランから押収した武器です。既にパッケージ化され、直ぐにでも提供できる即応性、ウクライナ軍の装備形態に直ぐに編入でき、アメリカとしても処分コストも掛からないなどロジスティクスの面でも理にかなっています。

ウクライナへの提供が現実となれば、イランの間接的なウクライナ支援となり、イランの武器支援を受けるロシアにとっては何とも皮肉な話です。

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Source

Suspected Iranian Weapons Seized by U.S. Navy May Go to Ukraine

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