米海軍、ボーイングから初の大型自律型潜水艦「Orca」を受領

ボーイング社は20日水曜、アメリカ海軍に最初の大型自律型潜水艦「Orac(オルカ)」を納入した事を発表した。

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米海軍、ボーイングから初の大型自律型潜水艦「Orca」を受領
©Boeing

ボーイング社は今月20日、受け入れ試験を完了した初の超大型無人潜水機 (XLUUV)を米海軍に納入した。米海軍はこれを「Orca(オルカ)」と命名している。オルカは日本でで「シャチ」を意味する。このXLUUVは変化する水中・海底といった海域において長期に渡って重要任務を遂行できる新型自律潜水艦になり、Boeing Maritime and Intelligence Systemsの副社長Ann Stevens氏は「これは10年以上にわたる先駆的な研究の集大成であり、母船から完全に独立して自律航行する大きな積載容量を持つ長距離完全自律型潜水艦である。」と強調した。

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Orcaは2022年4月28日に米海軍によって正式に発表、お披露目され、その後、ボーイング社は海軍の協力を得て海上試験を受けていた。今回の納入発表は受け入れテストが無事に完了したことを意味する。しかし、開発は決して順調ではなく、ボーイング社は開発の過程で多くの課題に直面した。Orca(オルカ)は2017年9月に米海軍内で発足した自律型無人潜水機(AUV)いわゆる軍用の大型水中ドローンの開発プログラムとしてスタート。2019年2月にボーイング社とハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)の2社に総額2億7400万ドルの契約が授与され、ボーイングはかつて開発をしていたEcho Voyager無人潜水艦をベースに計5隻のOrcaの開発製造に着手。しかし、米議会会計検査院(GAO)の昨年9月の発表によれば、プロジェクトが大幅に遅れ、その結果納期が少なくとも3年遅れ、費用が当初の見積もりを2億4,000万ドル上回ったと報告している。

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大型自律型潜水艦Orca

Orcaは水中での機雷対策、対潜水艦戦、対水上艦戦、そして、偵察、電子戦のミッションを行うように設計された大型の自律型無人潜水艦。全長は26m、約8トンのペイロード能力を有し、巡航速度は3ノット(5.55km/h)、最高速度は8ノット (14.8km/h) で、最大航続距離は6,500マイル (10,460km)になる。最大深度はEcho Voyagerのスペックベースで3000m。武装に関する詳細は不明だが、魚雷、小型水中ドローンが搭載される予定だ。
動力はディーゼルエンジンとリチウムイオン電池になり、水中ではリチウムイオン、海上ではディーゼルエンジンを使用し、充電を行う。海上に出てから数か月間任務を継続できる耐久性を有している。

船体は将来登場するであろう先端技術の統合を可能にするようモジュール機能、オープンアーキテクチャを取り入れ、拡張性の高いプラットフォームを実現してる。米海軍は今後数十年間で50隻のOrcaの調達を考えている。

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米海軍、ボーイングから初の大型自律型潜水艦「Orca」を受領
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