アメリカ国防総省は8月31日、ウクライナ安全保障支援イニシアティブ(USAI)に基づいて、レイセオン社に対し、ウクライナ向けAIM-120中距離空対空ミサイル(AMRAAM)の製造を1億9200万ドルで発注した。
総数やモデルは明かされていないが、アメリカ軍の在庫からウクライナに提供するのではなく、新たにウクライナの為に製造されることから最新のAIM-120Dと推測され、国防省とメーカーとの直接契約の場合、AIM-120の一発当たりの直近の単価は137万ドル前後とされており、その場合の今契約額での生産数は140発と推測されている。生産は2024年11月に完了する予定で、レイセオン社のミサイル工場があるアリゾナ州ツーソンで製造される。アメリカは現在のウクライナの主力戦闘機であるMig-29にAIM-120を統合できるか調査していたが、生産完了時期から察するにウクライナへの供与が決定しているF-16用と思われる。
AIM-120 AMRAAMとは
AMRAAMとして知られるAIM-120は1970年代に開発、1991年より運用が始まった中距離空対空ミサイル。現在、世界30カ国以上で運用されており、30年以上にわたって設計、改良、試験、製造重ねてきたAIM-120の攻撃能力は天候や視界に影響されず、米空軍及び同盟国の戦闘機の対空能力を満たしてきた。その能力は4,800回以上のテストショットと10回以上の空対空の実戦で十分に実証されている。開発元のレイセオン社は「空対空の役割において、AMRAAMミサイルに匹敵するミサイルは他にない」と述べている。
AIM-120は終末誘導方式にミサイル自身が持つレーダーで標的を追跡する「アクティブ・レーダー・ホーミング」を採用しており、発射母機が常に目標をレーダーで捕える必要がなく、終末誘導の時点で退避回避運動が可能になり、生存率、命中率を上げている。最新型のAIM-120Dの場合、マッハ4で飛行、最大射程は160kmでアクティブレーダーは目標まで28kmの距離で有効になる。同じロシアの中距離空対空ミサイルであるR-77は最大射程150kmでアクティブレーダーの距離は16kmなので、ミサイルの撃ち合いになった場合、AIM-120Dに分がある。
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