F-35ライトニングII共同計画事務局(JPO)の声明によれば、F-35Aステルス戦闘機が「B61 mod12」戦術核爆弾を搭載することが正式に認定されていた事が分かった。F-35Aは第5世代ステルス戦闘機としては初めて核爆弾運用可能な戦闘機となった。
ブレイキング・ディフェンスの報道によると、JPOの広報担当者Russ Goemaere氏は声明の中で、F-35A戦闘機の核爆弾搭載の認証は昨年に10月12日に達成されたと述べた。アメリカはNATOの同盟国に対し、認証プロセスは2024年1月までに完了すると約束していたので、かなり前倒しで達成されていたことになる。これにより全機ではないが一部のF-35AにB61 mod12戦術核爆弾を搭載することができるようになり、F-35Aは通常兵器と核兵器の両方を搭載できる 「デュアル能力」 を持つ戦闘機となる。
「F-35Aは、史上初の核搭載可能な第5世代戦闘機であり、1990年初頭以来、この地位を達成した最初の新しいプラットフォーム (戦闘機または爆撃機) です。このF-35原子力認証の取り組みは、16の異なる政府と業界の利害関係者で構成される原子力企業全体での10年以上にわたる熱心な取り組みの集大成となります。F-35Aは予定よりも早く核認証を達成し、米国とNATOに、米国の拡大抑止コミットメントを支援する重要な能力を、予想よりも早く提供しました。」とGoemaereは述べている。F-35Aの核設計認証プロセスの最終飛行試験演習は実は2021年10月に終えており、国防総省とエネルギー省によってF-35Aの核爆弾の搭載可否について分析及び検討が行われていた。
アメリカ科学者連盟の分析によれば、 2023年の時点で約100発のB61爆弾がNATO同盟国の核攻撃任務を共有するベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコによって保管されている。この内、トルコ以外はF-35を運用、または計画しており、最近、ドイツがF-35の導入に署名した主な理由は核搭載可能な航空機を持つ必要性によるものだ。ただ、現在、保管されている旧型のB61はF-35Aに搭載することはできず、最新バージョンである”B61 mod 12”のみになる。また、同じF-35でも短距離離陸・垂直着陸型のF-35Bと艦載機仕様のF-35Cはまだ認定を取得していないので搭載することはできない。
B61 mod12
B61は1960年代に開発が始まり、1966年から配備が始まった核爆弾。今回認証されたB61がmod12と名称されているように、これまで12モデルが開発されており、mod12は9年の歳月と約84億ドルに上る予算で2021年に開発された。12の前身のmod11は1997年に開発され、11からは地中貫通爆弾になり、地下のより限定された領域内で起爆させることで爆風半径を制限、被害範囲をピンポイントにし、地表の被害を軽減している。威力は最大50kt。信管の設定によっては地表で起爆させることも可能だ。12では無誘導爆弾に精密誘導能力を付加する装置「JDAM(Joint Direct Attack Ammunition)」を追加。これまでの不正確な自由落下に対し、慣性航法システム、GPS、レーザーなどを用いたピンポイント爆撃が可能になっている。B61はこれまで3000発以上が生産されてたがmod12の核弾頭は古くなった3、4、7、11の弾頭の一部を再利用、改修などを行い使用する予定。 F-35A以外ではF-15EXでの搭載、投下試験を完了している。B-2とF-16でも搭載を計画している。