ロシアがイランと北朝鮮から手に入れたミサイルの性能は?

ロイター通信の報道によれば、イランがロシアに400発以上の短距離弾道ミサイルを供与する計画であることが分かった。ロシアは最近、北朝鮮製ミサイルを使用している事が明るみになっており、不足するミサイルを近隣の友好国に頼っている事が明らかになっている。

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報道によれば、イランはロシアに400発以上の弾道ミサイルを供与する予定で、その中にはZolfaghar(ゾルファガル)、Fateh-110(ファテフ-110)という2つのミサイルが含まれているとされる。ミサイル供給の合意は2023年末に合意、既に供給は始まっているとされ、今年1月初旬から供与が始まり、輸送は今後数週間にわたり行われる見通し。イランから大量のミサイルを受け取ったことも確認されている。また、ロシアが1月にウクライナに発射したミサイルを分析したところ、北朝鮮製の短距離弾道ミサイル「KN-23」と「KN-24」を使用したことが明らかになっている。二か国からロシアが受け取ったミサイルはどういったものなのだろう。

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イラン

Zolfaghar(ゾルファガル)

ゾルファガルは2017年に就役したばかりのイラク国産の新型短距離弾道ミサイル(SRBM)。主に移動式発射台に搭載され運用される。発射台には1基から最大2基のミサイルが搭載される。弾頭重量は579kgで射程は700kmとされている。誘導システムは標的周辺までは慣性航法システム(INS)で誘導され、最終の正確な目標設定、最終飛行経路にオプトロニックシーカーと全地球航法衛星システム(GNSS)が使用される。

Fateh-110(ファテフ-110)

2002年から運用されている短距離弾道ミサイル。ゾルファガル同様、主に移動式発射台に搭載され運用される。最大500kgの榴弾弾頭を搭載、固体推進剤を使った一段式のミサイルで射程は短く200~250kmとされているが、2018年に公開されたFateh-E Mobinの射程は300kmを超えるとされている。どのタイプがロシアに提供されているかは不明だ。マッハ4のスピードで飛行し、超音速ミサイルになる。誘導方式はINS、GNSS、電子光学装置が使用され、平均誤差半径(CEP)は100mと発表されている。

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北朝鮮

KN-23(火星-11Ga)

KN-23は2018年に開発され、新型ミサイルになる。ロシアのイスカンダル-Mおよび韓国の玄武-2B 短距離弾道ミサイルに外観的に酷似しており、発射方式はイスカンダル-Mと同じとされるが、大きさはイスカンデルよりも一回り大きく、プラットフォームの共通性は無いと思われる。500kgの弾頭を搭載、射程は北朝鮮製ということもあり韓国全土を射程に捉えることを念頭に約450kmとされており、ペイロードを減らせば射程を690kmまで延長することも可能。アメリカの国家安全保障会議(NSC)は、少なくとも1発がロシア領内から460km飛行してウクライナ南部のザポリージャに着弾した事を発表している。誘導方式はINSでCEPは200m、GNSSを使用した場合で100mほど。下降後に再び上昇する「プルアップ」という変則軌道で飛行するため、迎撃が難しいとされている。

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KN-24(火星-11Na)

KN-24は2019年に開発された新型ミサイルになる。こちらは高機動ロケットシステムHIMARSなどから発射されるアメリカのATACMSミサイルに外観が酷似しているが、一回り大きく、射程もATACMSの300kmに対し、こちらは若干長く400km以上とされている。最大飛行速度がマッハ6.2とされており、マッハ5以上が極超音速と言われているので、その定義に沿えば、巡航速度がマッハ5を超えるようであればKN-24は極超音速ミサイルになる。KN-23同様、変則軌道で飛行、GNSSの誘導でCEP100m、INSのみの場合はCEP200mの精度があるとされる。

ウクライナに着弾した北朝鮮製ミサイルの部品をイギリスの民間研究機関「紛争兵器研究所」分析したところ、90%以上が海外製の部品で占められていることが分かり、内75%が米国製、11.9%がドイツ製と8か国の部品が確認された。その中には日本も入っており、3.1%が日本製だった。

ロシア、イラン、北朝鮮は共に西側から制裁を受けており、兵器及び兵器開発に必要な高度な部品を輸入することはできないが、ロシアは同じく制裁を受ける国から兵器を輸入し、供給する国は抜け穴を見つけ、部品を輸入し、ロシアに兵器を供給。その対価として、ロシアから金銭、物資、技術を受け取るなど、西側による制裁の効果は低下している。

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ロシアがイランと北朝鮮から手に入れたミサイルとは
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