なぜ?イスラエルはパレスチナ・ハマスの奇襲、侵入を許してしまったのか

なぜ?イスラエルはパレスチナ・ハマスの奇襲、侵入を許してしまったのか

10月7日に始まったパレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスとイスラエルとの戦闘。互いに数百人の死者を出すなど戦闘は激化。イスラエルは10月9日に50年ぶりに宣戦布告を行い、戦闘はエスカレートし、双方に更に被害が増えることが懸念されます。今回、これまでのイスラエル・パレスチナ間との戦闘と違うのはハマスの戦闘員1000人がイスラエルに侵入し、イスラエル領内で戦闘を行ったことです。これにより、イスラエルは民間人も含め大きな被害を出してしまいます。これまで、幾度も戦闘を繰り返し、ガザ地区の周囲にはいくつもの前哨基地があり、壁もあったのに、なぜ?イスラエルは大規模な侵入を許してしまったのでしょうか。

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奇襲だった

イスラエルの宣戦布告は50年ぶりといいましたが、50年前の10月6日は第四次中東戦争が起きた時です。この時、攻め込んだエジプトとシリアは奇襲を行いました。イスラエルは第一次、第二次、第三次と三度の戦争に勝利、特に第三次ではアラブ側を圧倒したこともあり、アラブ側の戦力を軽視。それもあってアラブ側は初戦で奇襲攻撃を成功させ、イスラエルは苦戦を強いられます。中東戦争の相手に比べればハマスは武装組織レベルであり、戦車も航空機も持っていません。イスラエルは戦力で圧倒しており、まさか、壁を越えて本格的な攻撃を仕掛けてくるとは思っていなかったと思われます。

安息日ヨム・キプールだった

第四次中東戦争での奇襲の時はイスラエルにおけるユダヤ暦で最も神聖な日「ヨム・キプール」で安息日でした。そして、今回のハマスが攻撃を開始した10月7日も「ヨム・キプール」です。ユダヤ教徒はヨム・キプールの間は日没後から次の日没後まで飲食を控え、労働もしません。そのため、ガザ地区周辺という前線にも関わらず、当日は基地の人員の半分が休暇で家に帰宅したり、休日を楽しんでおり、戦力が半減していました。

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用意周到に練られた計画

ハマスは今回の攻撃のために1年間の計画と準備を行っていたと述べています。ガザ地区は「天井の無い監獄」と言われるように周囲は全て壁とフェンスで覆わ、24時間体制で監視されています。この壁と監視を打破するため、ハマスはまず最大5,000発と言われるロケット弾の攻撃を行い、イスラエル軍の注意を反らします。そして、次にドローンによって、ガザ地区周辺の監視塔やカメラ、電源設備を破壊。監視塔は安息日でも24時間体制で見張り員が就いていましたがその目が奪われます。電源設備を失われたことで通信系統が麻痺。また、ガザ地区を取り囲むフェンスには電流と接触すればアラートがなるようになっていますが、それも機能しなくなり、結果、フェンスが破壊され、ハマスの侵入を許します。これにより、車両やバイクの侵入が可能になり、短時間でイスラエル深くまで侵入を許し、イスラエル国防軍の対応が後手になり、民間人の被害を増やす結果になります。

ドローン対策が不十分だった

今回、ハマスは初期攻撃で昨今の戦争では主流になったドローンを多用しました。前述の施設の破壊の他、ハマスの戦闘員にとって一番厄介なメルカバ戦車もドローンで破壊しています。イスラエル側は2017年頃からハマスがドローンを使用していることを把握していましたが、有効な対策をうっていませんでした。

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空からの侵入

多くの戦闘員は壁を越えて侵入しましたが、ハマスは今回、壁を越え、空からも侵入しています。航空機、ヘリも持たないハマスがどうやって空から侵入したかというと、パラグライダーです。モーター付きのモーターパラグライダーも使用し、ロケット弾攻撃と並行しながら多数が空から侵入し、奇襲を行いました。イスラエルもまさか空からくるとは思いもしなかったと思われます。また、海上から小型ボートでもハマスは侵入しており、陸海空と三方面から今回、奇襲を行いました。

しかし、イスラエル国防軍も体制を整え、空爆で反撃。侵入された地域のほとんどは既に奪還されています。30万人の予備役を招集して、大規模反撃の準備を整えています。第四次中東戦争でも奇襲には成功したものの、予備役部隊の準備が完了すると、その後はイスラエルが優勢になっています。今後は2014年以来のガザ地区侵攻が予想されていますが、今回、イスラエルは”ハマスに終止符を打つ”と言っており、ガザ地区住民に退去を勧告するなど激しい地上戦が予想されます。

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Source

https://www.israeldefense.co.il/node/59814

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