F-22は2030年から退役?それとも延長?

F-22は2030年から退役?それとも延長?
Photo US Air Force

2021年5月にアメリカ空軍の第5世代戦闘機であるF-22ラプターが2030年から段階的に廃止するという報道があり、世間を驚かせましたが、ここにきて開発元のロッキード・マーティン社とF-22の近代化アップグレードの契約に署名したという情報も発表されました。F-22は2030年以降どうなるのでしょう。

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陳腐化したF-22

今年、5月12日に開催された”マッカリーズFY 2022防衛プログラム会議”において米空軍参謀長、チャールズQ.ブラウンJr.は、米国空軍 (USAF)の戦闘機を現在の7機種(F-15C / D、F-15E、F-15EX、F-16、F-22、F-35、A-10)をメンテナンスの効率化と、戦力を集約化するために4+1機種まで削減方針であることを述べました。その4機種のリストにF-22の名はありませんでした。2030年には運用開始から25年が経つF-22は段階的に廃止され、F-22の後継と目させている次世代戦闘機NGADに置き換わると述べ、2030年代以降はNGAD、F-35、F-16、F-15EX、A-10(+1)の4機種+1で運用される予定です。

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F-22は最新鋭・最強の戦闘機というイメージがありますが、実は開発が始まったのは以外と古く、1980年代の冷戦期になり、初飛行はまだ冷戦が続いていた1990年です。その後、2005年に世界初の第5世代ステルス戦闘機として米空軍で運用が開始されます。世界最強の戦闘機として隆盛を誇るも開発費が高騰したことで、700機の生産予定が200機しか生産されず、工場の生産ラインも閉鎖され、F-15の代替機の予定が結局が十分な数を生産することができませんでした。量産による経済的メリットもなく、生産ラインが閉鎖されたことで拡張性も無く、高額なメンテンナス費だけが残されました。米軍はその後、2つ目の第5世代戦闘機F-35を開発。さらにロシアがSu-57、中国がJ-20と仮想的国も第5世代戦闘機を開発。一番最初に開発されたF-22のステルス機能やアビオニクスは第5世代戦闘機としては既に時代遅れとされています。F-35Aの空対空の戦闘半径は1400km、今後1800kmまで拡張される予定ですが、それに対しF-22は1100kmしかありません。F-22は対ロシアを睨んだヨーロッパの戦場を想定して開発されていたこともあり、広い海洋域を舞台にする対中国においては性能が不十分です。こういったことが要因で、F-22は廃止されると目されています。

ロッキード・マーティンが近代化改修の契約に署名

しかし、F-22の開発元のロッキード・マーティン社は米空軍は5日、F-22の近代化改修を行う総額109億ドルの契約に署名しました。これは 「Advanced Raptor Enhancement and Sustainment」、通称ARESと呼ばれる改良プログラムになり、詳しい改良内容は不明ですがアップグレード、近代化ハードウェキットの開発、ロジスティクスを含んだもので、少なくともF-22の耐用年数を第6世代戦闘機NGADの初期運用能力、交換に達するまで、性能と機体寿命が延長されます。契約は10年間で、2031年10月31日までプログラムは完了する予定です。さすがにアップグレードされた直後にF-22を廃止することは考えにくく、廃止は若干延長されるのではないかと思われますが、NGADが配備されるまどということもあり、NGADの配備状況によっては予定通り2030年から、開発が遅れるようであれば更なる延長があるかもしれません。NGAD次第です。

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Source
https://www.airforcemag.com/csaf-f-22-not-in-usafs-long-term-plan/
https://www.aviacionline.com/2021/11/long-live-the-raptor-lockheed-martin-wins-10-billion-contract-to-upgrade-the-f-22/

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