弓矢の名手というと『アベンジャーズ』のホークアイや『ロードオブ・ザ・リンク』のレグラスといった映画の登場人物を思いつく人も多いだろう。映画の中では曲芸のような矢を放っている。あの弓矢の扱い、映画だけの世界と思っていたが、実際にやっている者がいた。
まさに現代のロビンフット
弦を手で引っ張る引手の弓矢は約5000年前に誕生し、昔から遠距離、間接攻撃の主役だった。しかし、8世紀頃に中国で銃が発明され、17世紀頃には戦場での武器の主役は銃になり、弓矢は戦場から消えてしまい、見る機会が少なくなった。現代の弓矢というとアーチェリーやボーガンになってくる。
そんな忘れられた昔ながらの弓矢の技術をデンマークのラーズ・アンデルセン( Lars Andersen )は復活させた。この技術が、とにかく凄い!アンデルセンは前にどんな障害物があろうと狙った的を射ることができる。人であろうと建物であろうと、それを避けて相手を射るのだ。相手がどんだけ身を隠そうと位置が分かれば射ることができる。それこそ、彼は自分が放った矢を自分の元に射ることもできる。
この親子の前に置かれた缶も2人の間を通すのでではなく、横から射貫くのである。 しかも、恐ろしいことに実際に刺さる矢を使用している。このように歪曲しながら矢を射る方法は昔の優れた弓手も行っていており、英語とアラビア語の文献にも残っている。
他にも刃物に向かって矢を放ち、矢を2つに割ったり、それこそ、映画のように放たれた弓を手でつかみ、それを射ぬ返す。2つ同時に射抜いたりと、その技術は枚挙がいとまない。
映画の弓術は間違っている
アンデルセンは映画などで見る弓矢の使い方は間違っていると映像の中で言っている。矢筒を背負いながら移動は邪魔で矢がこぼれる可能性があり、 矢筒を背負うのはアーチェーリのような静止した状態で射る弓術になると。実際、彼は手に何本も矢を持ちながら、恐ろしい速さで何本も矢を放つ。
アーチェーリーや映画では矢を引手の反対に構えているが、これは現代の弓術になり、静止した平面の標的を、片目で狙うのに都合が良いからである(日本の弓道は引手側)。矢を構える時、引き手が弦の反対側にあると実際に射るために余計な手間がかかり、移動しながら射るには向いていないと言っている。実際に彼は移動しながら、矢を放つも狙いを外さない。
是非、彼の凄技を映像でご覧ください。