フォート・ムーア米陸軍基地から31丁のM17拳銃と暗視装置が盗難され、半年が経った今も発見に至らず、アメリカ陸軍犯罪捜査局は懸賞金を増額した。
31丁のM17拳銃は3月~5月にかけて、フォート・ムーア米陸軍基地の装備施設から盗難されたとされ、アメリカ陸軍犯罪捜査局(CID)に5月になって報告され、6月に盗難の事実が公表された。その際、CIDは有力な情報に5,000ドルの懸賞金をかけたが、犯人逮捕につながる情報はなかった。犯人が見つからないまま、8月31日から年10月1日にかけて、更に新型の暗視ゴーグル「ENVG」2基と「AN/PAS 13Dサーマルサイト」1基が紛失した事が報告された。盗難の公表から半年が経過しても有力な情報が得られない事からCIDは懸賞金を1万5000ドル、日本円で230万円程に同額した。
ジョージア州にあるフォート・ムーアは、アメリカ陸軍の主要な訓練拠点であり、陸軍歩兵学校と陸軍装甲学校の本拠地になる。M17は長らく使用されていたベレッタM9の後継として2019年から配備が始まった主力拳銃でSig SauerのP320をベースにしており、海軍、空軍、海兵隊も採用している。P320の市場価格は500ドル前後になる。ENVGは2022年から配備が始まった新型暗視ゴーグルで微量な光を増幅させる光増幅装置式の ナイトビジョン機能と、熱と物体が出す光で映像化する赤外線サーマルカメラの二つで構成されており、すべての照明条件、気象条件下で視界および監視する能力を兵士に提供する。ENVGのコストは18000ドルとされているので、懸賞金よりも高い。これらは一般人が手に入れる事はできなく、闇市場では実際の価格より高値で売買される。
米軍での銃や装備品の盗難や紛失は珍しい事ではなく、AP通信の調査によると、2010年代には少なくとも1,900丁の銃が紛失または盗難に遭っている。