先週の金曜日、カリフォルニア沖のサンクレメンテ島で訓練を行っていた米海兵隊のAAV7水陸両用車が沈没した。16人の乗組員のうち8人が脱出したが1人が死亡、1人が意識不明、8人が行方不明となり、米海軍が捜索救助活動を行っていたが50時間以上を経て捜索救助を断念した。
事故の車両は、サンディエゴの海兵隊ベースキャンプ”ペンドルトン”を拠点とする第15海軍遠征隊(15MEU)に所属。車両には19〜30歳の隊員が搭乗し、全員がボディアーマーとライフジャケットを含む戦闘装備を着用していた。彼らはその日、サンクレメンテ島への上陸演習を行う予定だった。
AAV7は水陸両用車で水上でも沈むことなく航行できるのだが、何らかの理由でこの車両は沈没した。一緒に訓練を行っていた他のAAV7が救助しようとしたが、浮力を失った26トンの車両はあっという間に沈没。16名の乗員のうち8名はなんとか脱出したが、1名は救助後まもなく死亡、1名は昏睡状態にある。残りの8名は車両内に取り残されていると考えられ、米海軍が捜索救助活動を行ったが、沈没海域の水深は深く、ダイバーの潜水限度を超えており、捜索は難航。50時間の捜索活動を行った後、救助活動を終了した。
米軍は沈没事故の原因が特定されるまでAAV7の運用を禁止した。
AAV7水陸両用車とは
1972年に登場したロングセラーの装甲車両。水陸両用車として水上を浮上航行する能力を持ち、兵員20名以上が搭乗できる。離島や海岸線の上陸作戦の車両として主に海兵隊に採用されている。現在生産はされていないがバージョンアップを繰り返し、米海兵隊では今でも800台を運用し、世界各国の海兵隊も採用している。陸上自衛隊の水陸機動団にも離島防衛強化を目的に2013年から採用され60台を運用している。
隊員は沈没を想定して脱出訓練を日頃から行っているが、今回、想定以上のスピードで沈没した可能性がある。また戦闘装備を着用していたとのことで、装備の重量は数十キロに及ぶ。車内は密閉されておりこの状態で脱出するのはいくら訓練を積んでいても難しいだろう。自衛隊も使用する車両であり、原因究明が待たれる。