大統領選挙終了直後の11月9日にトランプ大統領はエスパー国防長官を解任。その後の国防長官代代行にクリストファー・C・ミラー氏(55)を指名しました。国防長官は元軍人が指名されることが多いのですが、ミラー氏は歴代の国防長官と比較すると、その武闘派ぶりが際立つます。何を隠そう彼は米陸軍特殊部隊グリーンベレー出身でアフガニスタンでアルカイダと死闘を繰り広げていたのです。
中東で特殊作戦に従事
ミラーは1983年から2014年まで軍隊に勤務。1993年に特殊部隊資格を取得し、米陸軍第5特殊部隊グループ(空挺部隊)に入隊。部隊は中東、ペルシャ湾から東アフリカを主な任務地として、対テロと特殊作戦の任務に就いていました。2001年にアフガニスタン戦争が始まると、同地に派遣されます。
Here’s the new Acting SecDef as a fighting AOB commander in 2001 @5thForces pic.twitter.com/cVWwvXwi5K
— Mike Nelson (@mikenelson586) November 9, 2020
2002年1月に部隊はアフガニスタンの重要拠点カンダハールの防衛の任務に就きます。部隊はこの地の防衛に責任を持つことに加えて、地元のアフガニスタン軍を指導、訓練しました。この期間中、ミラーは少佐として部隊を率いてアルカイダ組織によって二か月に渡って封鎖されていた病院を襲撃し、6人のアルカイダ兵士を殺害し、病院の救出に成功しています。ミラーは当時のメディアの取材に「激しい銃撃戦だった。アルカイダの6人の兵士は死ぬまで戦ったと」と語っています。2003年にはイラク戦争の最初の戦闘にも参加します。
ミラーは2009年に大佐に昇進すると国防総省の「特殊作戦および非対称作戦」のディレクターに。2014年に退役すると、民間の防衛企業に就職します。その後、2018年にはトランプ大統領政権下の国家安全保障会議のテロ対策顧問になり、これまでの経験を活かし、イラク、シリアといった中東地域での特殊作戦、対テロ作戦に関与します。その後、国防総省の副次官補、2020年3月には国家テロ対策センター所長へと昇進、11月9日からは代行ではありますが国防長官にまで昇りつめます。
大統領選挙ではバイデンの勝利が確実であり、トランプの二期目は無いと思われます。新大統領の就任式は来年1月20日であり、残念ながらミラー氏の国防長官の任期はそれまでのごく僅かと思われ、大きな決断はできないと目されています。
https://www.defense.gov/Our-Story/Biographies/Biography/Article/2111192/christopher-c-miller/
https://taskandpurpose.com/news/chris-miller-defense-secretary