HK416はM4の課題を改修するために米陸軍の要望を受けてドイツのヘッケラー&コッホ(HK)が開発した銃だ。M4の改良版であるHK416はM4と比べ何が優れているのだろう?
HK416とM4/M16の違い
HK416は米国の主力小銃であるM4/M16をベースにした改良版ではあるが根本的な違いがある。
ガスピストンシステム
M4やM16はその性能、精度、射撃の速さで優れた銃ではあるが、信頼性と耐久性において最新のライフルと比べるとかなり遅れている。その理由は、このライフルに組み込まれているガスシステム「ダイレクト・インピンジメント式(動画前半)」にある。このシステムは射撃時の燃焼ガスを管を通して内部に戻し、その力でボルトをピストンし排莢、次弾を装填する。このシステムは塵を伴った高温ガスを銃内部に戻すため、内部の故障や耐久性が下がる原因になる。HKはそれを改善するために、より信頼性の高い「ショートストロークピストン式(動画後半)」を採用した。これはガスでロッドを押し戻しボルトをピストンさせるので銃内部にガスを送りこまない。これにより耐久性、メンテナンス性が向上した。
東京マルイ HK416 デルタカスタム (18歳以上次世代電動ガン)
耐久性
M4は過酷な状況下での耐久性に問題があり、特にそのような環境下での任務が多い特殊部隊からはクレームが上がっていた。そこでHK416では潤滑油無しでも使用できるようにした。これにより砂や泥に埋めたり、水の中に入れたあとでも直ぐに射撃が可能であり、特殊部隊からも好評を得た。銃身は冷間鍛造技術により長寿命化され、20,000発以上使用しても初速と命中精度が維持できる。偶発的な放電から銃を守り暴発を阻止する。
銃としての性能
HK416は人間工学に基づいて設計されている。両利きに対応できるアンビシステムに、6段階の長さに調整可能なマルチポジション伸縮式バットストック。レシーバーとハンドガードの上部のピカティニーレールは一体化され、拡張性は向上した。ボディには軽量の合金を使い、堅牢さを維持しながら全体の重量は軽量化。新しいガスピストンにより、反動は軽減され安定感が増し、ガスを内部に戻さないのでハンドガードの放熱性は改善され30発連射してもハンドガードは熱せられず素手でも扱える。新しく採用されたモジュールシステムによって任務に応じてバレル長を14.5インチ、16.5インチ、20インチに変更できる。
M4の後継にはならなかった
M4の改良版として開発されたが、米軍の大々的な採用には至らなかった。その理由はいくつかあり、当初「HKM4」と名付け、M4を製造するコルト社に商標侵害で訴えらるといった、いざこざがあったこと。また、国産ではないため、武器輸入に関する手続きが煩雑なこと。価格が高いなどが理由とされている。しかし、デルタやDEVGRUといった世界最高峰の特殊部隊に使用されたことでHK416は信頼を得る。そして、2012年には米海兵隊の分隊支援火器としてM27という名前で採用され、5,000挺が調達された。
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HK416は世界的には評価は高くノルウェー軍やフランス陸軍、トルコ軍の標準銃に採用されている。陸上自衛隊が新小銃を検討する際も20式、SCAR-Lと合わせて候補に挙がっていた。