もし、目線と銃の照準が自動的に連動する銃があったらどうだろう。照準は直ぐに定まり、正確で素早い射撃が可能になるだろう。それを実現すべく、かつてヘルメットと銃を一体化したヘルメット銃を開発した者がいる。
標的を見つめるだけ
第一次世界大戦中の1916年、アメリカはバーモント州リンドンの発明家Albert Bacon Pratt’s(アルバート・ベーコン・プラット)は画期的な銃を発明した。兵士が標的を捉えて目で追うだけで銃の照準が定まり、攻撃できる銃だ。
理屈は至極単純でヘルメットと銃を一体化した。銃の照準は従来、手に持った銃のサイトと目線を一直線に揃えることで正確な射撃ができる。しかし、腕と目と異なる体の部位を合わせるのはそう簡単ではないし、定まるまでに時間がかかる。しかし、頭にかぶるヘルメットは頭・目線の動きに連動する。目線と同じ正面に銃口を置くことで、目線の動きに合わせて勝手に照準が定めるというわけだ。人は反射的に動く人を目で追う。特に戦場では自己防衛本能も相まって、その感覚は鋭敏になる。ヘルメット銃を使えば、常に直感的に敵を捉えることができるわけだ。目は横目を向いたり、目線が常に正面あるとは限らないので、目線と銃口が真っすぐ前を向ているか分かるようにヘルメットから目の高さにあわせて照準器が垂れ下がっている。
射撃方法はヘルメットに繋がるチューブに息を吹き込むことで発射させる。半自動銃のようで、射撃後は排莢され、次弾が自動的に装填される仕組みになっており、数発の連続射撃は可能のようだ。流石に射撃する度にヘルメットを脱いで装填というのは不便すぎる。
気になる射撃時の反動だがブローバックによる後方へのリコイルショックはあるが、リコイルショックに続いてボルトが戻るスプリングバックによる前方に押し出す力が作動し、射撃時の反動は相殺され、射撃による射手への不快感は少ないとされている。
このヘルメット銃は米国特許第1183492号を取得したが、第一次世界大戦、その後も実際に戦場で利用されたという記録はない。ということは実戦に使えるような代物ではなかったのであろう。
https://patentimages.storage.googleapis.com/90/04/a4/9f3a681ed20d8c/US1183492.pdf
http://www.weirduniverse.net/blog/comments/albert_bacon_pratts_helmet_gun/