アメリカは2014年のロシアのクリミア侵攻からウクライナに対し、軍事支援を行っており、ウクライナ侵攻前からいくつかの兵器が提供されていました。その中の一つが「AN/TPQ-36対砲兵レーダー」です。
アメリカはクリミア侵攻の翌年2015年に2基のAN/TPQ-36対砲兵レーダーをウクライナに提供。ウクライナ侵攻が始まると軍事支援として2022年3月に更に10基、オランダからも5基がウクライナに送られており、ロシア軍の砲兵陣地への反撃に役立てられています。
敵の砲兵を探知するレーダー
正式名称”Hughes AN / TPQ-36 Firefinder Weapon Locating System”は、米国の軍事企業Hughes Aircraft Company(ヒューズ・エアクラフト・カンパニー)によって開発され、NorthropGrummanとThalesRaytheonSystemsによって製造されたモバイルレーダーシステムです。1980年代から米陸軍および海兵隊で運用されています。対砲兵レーダーというように砲撃を検知するためのレーダーになり、レーダー範囲内に侵入してくる砲弾やロケット弾を検知、その砲撃起点を検出し、敵の迫撃砲、大砲、ロケットランチャーの位置を迅速かつ自動的に探知するように設計。敵の砲撃に長時間悩まされることなく、速やかに反撃することを可能にします。
検出範囲は最大24kmで大砲や迫撃砲は18km、ロケット弾で24kmになり、同時に最大10個を検知します。レーダービームの範囲は90度ですが、常時回転させることで360度監視します。オペレーターは100m離れた場所から遠隔操作が可能です。重量11tのレーダーは自走式ではないため、トラックに搭載、または車両で牽引する必要があり、移動中は作動させることはできません。設置位置を決めると5人の作業員によって15分で展開できます。再移動の際は5分で移動準備ができます。
主に前哨基地や前線部隊の部隊陣地の防御用に展開されています。