アメリカ海軍は、2028年に建造開始を予定しているアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の後継となる次世代ミサイル駆逐艦の構想を明らかにしました。
DDG(X)とは
米海軍は2022年1月12日(水)に開催されたキャサリンコネリー水上艦海軍協会のシンポジウムで「次世代駆逐艦DDG(X)」の”予備ドラフトコンセプトデザイン”を発表しました。これは1988年から建造が始まり1991年から運用されている米海軍の「アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦」に代わる次世代駆逐艦になります
兵装
DDGXにはアーレイ・バーク級の最新戦闘システム「フライトIII」を組み込み、艦首には32セルのMark 41垂直発射システム(VLS)に加え、各国で激しい開発競争が行われている”極超音速ミサイル”を搭載発射するための大型の12セルのVLSに換装することも可能です。対空ミサイルの21セル・ローリングエアフレームミサイル(RAM)2基に加え、対ミサイル兵器として指向性エネルギー兵器の”レーザー兵器”を搭載。レーザー兵器は現在、実験開発中のものより10倍以上の威力になる予定で最大600キロワット予定しています。RAMとレーザー兵器により防空能力は大幅に強化されます。その他の武装は明らかにされていませんがアーレイ・バーク級のフライトIIIと同等の127mm単装砲1門、25mm機関砲2門、20mmCIWS1基、3連装魚雷発射管2基、計96セルのVLSが搭載されるのではと推測されています。
能力
アーレイ・バーク級と比べ航続距離は50%、滞在時間は120%、燃費効率は25%以上向上される予定です。SPY-6シリーズレーダーとイージス戦闘システムは アーレー・バーク級のフライトⅢと変わりませんが、より強力な電源システムを使用しているため、フェードアレイレーダーはより大きく、センサー出力も増加するため、より優れた性能を発揮。更にアップグレードされたXバンドレーダーが搭載されます。
ズムウォルト級の発電力
これらの兵器とシステムを運用するために75メガワットを超える電力を生成する新しい発電機を搭載。これはレールガンを当初搭載する予定で大量の電力が必要だったZumwalt(ズムウォルト)ミサイル駆逐艦の発電量に匹敵。レーザー兵器、ミサイルシステム、最新のセンサーを運用する上で十分な電力を有します。
これらはまだコンセプトの段階であるため、性能は変わるかもしれません。建造費は1隻あたり10億ドルと言われており、2028年からの建造を予定しています。
アーレイ・バーク級の生産は継続
アーレイ・バーク級は1980年代に開発が始まり、1991年から運用が始まったミサイル駆逐艦でイージスシステムを搭載するマルチミッション艦になります。空中、海上、水中の脅威に対応、米海軍の艦隊の要となる船であり、これまで70隻が建造され、今のところ89隻の建造を予定。これまでのフライトI、フライトII、フライトIIAのモデルに加え、DDGXに搭載される最新戦闘システムのフライトIIIの搭載モデルが建造中になり、DDGXの建造開始後もフライトIIIを搭載するアーレイ・バーク級の建造は続けれ、同モデルは2060年代まで運用される予定で、DDGX登場後もしばらくは併用運用されます。
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