F-35のエンジンルームに懐中電灯を置き忘れて約6億円の損害が発生

F-35のエンジンルームに懐中電灯を置き忘れて約6億円の損害が発生
USAF

2023年3月、アメリカ・アリゾナ州ルーク空軍基地でF-35のエンジン内に置き忘れた懐中電灯が原因で400万ドル、日本円で6億円近い損害が発生したことが、最近公表された空軍事故調査報告書で明らかになった。

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報告書と航空宇宙マガジンの報道によれば、問題の事故は昨年3月15日に発生した。3人の整備チームが 「エンジンの燃料ラインにメータープラグを取り付け、エンジンが動いている間に新しいメータープラグの漏れチェックを行う」 というF-35のタイムコンプライアンステクニカル指令を実施していたときに発生した。

プラグを取り付けた後、1人の整備士が工具の在庫チェックを行い、別の整備士がエンジンの作業前点検を行った。整備士は懐中電灯を使ってエンジンの吸気口を点検し、それを吸気口の淵に置いた。エンジン点検を行った整備士は、その後、エンジンを始動、5分間回して燃料漏れがないか確認した。その間、コックピットからエンジンの異常は確認されなかったが、エンジンが停止した際に異音がしたと報告された。エンジン点検を行った整備士は再度点検を行い、異音の原因を調査、最初の工具在庫点検を実施した整備士も再度、工具の在庫点検を行い、その時、懐中電灯がないことに気付いた。点検の結果、エンジン内から懐中電灯の部品が多数発見される。

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本来であれば、作業前点検終了後、メータプラグを取り付け、エンジン始動を行う前に工具の在庫チェックを行うべきなのだが、整備士は共同技術データチェックリストで強調されている標準的な注意事項の手順を遵守していなかったことが、懐中電灯の置き忘れの一因となったと空軍の事故調査員は判断した。また、F-35の自律整備管理システム(ALIS)に関する「自己満足」が一因であることも指摘。「チェックリストの数が膨大であり、正しいチェックリストにアクセスすることが難しいため、整備士がALISを見て必要なメンテナンス手順を踏むことなく満足してしまうことが原因となっている」と報告書は述べている。

懐中電灯を置き忘れた結果、F-35のエンジンは二段目のローター、三段目のローター、五段目のローター、六段目のローター、燃料ノズル、バイパスダクト、高圧コンプレッサー (HPC) 、高圧タービン (HPT) 、ファン入口可変ベーン を損傷、その修理費用は3,933,106ドルに相当する。

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