APS 水中銃|世界初の水中ライフル

APS 水中銃|世界初の水中銃
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APS水中銃はソビエト連邦が水中から忍び寄る潜水特殊部隊に対抗するために1970年代に開発した特殊作戦用水中銃であり、世界初の水中ライフルだ。APS水中銃について紹介する。

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水中銃の開発の経緯

APS 水中銃|世界初の水中銃
syl.ru

第二次大戦後、バルト海、北海、黒海方面への進出を図るソ連の脅威は西側のアメリカ及びヨーロッパ諸国が結託したNATOだった。1955年、ソビエトの戦艦「ノヴォロシースク」が黒海のセヴァストポリ港で爆発炎上し沈没、600人の船員が死亡した。当初は機雷に接触した可能性が高いとされたがソ連当局は、軍艦はNATOのフロッグマン(水中特殊部隊)によって爆破された可能性が高いと結論づけた。当時はNATOの米軍水中爆破チーム(シールズの前身)やデンマークの水陸両用の特殊作戦部隊フロッグマンが海洋進出を図るソ連に目を光らせていた。彼らは水中、潜水任務を専門としており、水中から忍び寄り特殊工作を行っていた。しかし、スキューバ装備を装備して海深く侵入してくる彼らに対し、有効な手段をソ連は持っていなかった。

スペック

一般的なライフルは地上で300~400メートルの殺傷能力を擁しているが、水中で撃った場合、弾丸の運動エネルギーは著しく減衰し、殺傷能力は2メートル未満しかなくなる。これは水の密度が空気の密度よりもはるかに大きく、水中では全方位から水圧抵抗がかかるためだ。つまり、水中にいる敵を攻撃しようにも、通常の銃では有効的な打撃を与えることができない。そこで、1970年にロシア・キリモフのTsNIITochMashは水中でも威力が下がらない水中銃の開発に取り組み始め、1975年にAPS 5.66mm水中アサルトライフルを開発する。

APSの射出構造は同国のAK-47と似たガス式のロングストロークピストン方式を採用。ピストンシリンダーには複数の排水穴があり、これにより水圧抵抗を減らした。銃身(バレル)にはライフルリングがない昔のマスケット銃と同じような滑空式を採用。これにより弾丸回転によるジャイロ効果が無くなるため水の抵抗を減らすことができた。しかし、それと引き換えに陸上で使用した場合、精度は非常に悪くなった。バレルの寿命も短く水中で2000発、地上では180発までになる。

弾丸

弾丸にはAPS専用の特殊な5.66mm水中ライフル弾を開発した。一般的な弾丸と同じくカートリッジケース、弾頭、推進薬で構成されているが形状は通常の弾丸とはまったく異なり、その形状はダーツに似ている。全長は150mmとライフル弾よりも長く、先が針のように細い針式弾の形をしている。この形状とライフリングの無いバレルによって、弾丸の水の抵抗を減らし、運動エネルギーを節約しながらも直進性を維持し有効射程を伸ばした。

水深5メートルでの有効射程は30メートル、水深20メートルで20メートル、水深40メートルでは11メートル。この距離でダイビングスーツを簡単に貫通でき、酸素ボンベに穴を開けることができる。一見、射程が短いと感じるかもしれないが水中の視界が悪いことを考えると射程は約20メートルあれば十分とされる。この特殊な弾丸を装填するためマガジンは巨大化した。

口径5.56mm
重量2.4kg(マガジン無し)
全長840mm
銃身長(バレル)372mm
弾丸5.56x40mm MPS
装弾数26発
射程距離30m(水深5メートル)
100m(地上)
発射速度350発/分
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http://weaponland.ru/load/avtomat_podvodnyj_specialnyj_aps/21-1-0-77

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