軍用HoloLensの拡張現実で兵士の戦い方は大きく変わる

軍用HoloLensの拡張現実で兵士の戦い方は大きく変わる
Photo by us army

ちょっと前までナイトビジョン、サーマルビジョンといえば特殊部隊の装備でしたが、今では一歩兵も携行するなど一般的な装備になりつつあります。米軍はいち早くナイトビジョン、サーマルビジョンを装備させ、夜間作戦においては常に優位に立ってきましたが、近年では中国軍、ロシア軍内でも普及し、さらには両国が開発製造する安価なビジョンがテロリストにも流れるなどしてして、戦場での優位性が薄れつつあります。そこで、米軍ではその先を行く複合現実(MR)ゴーグルを戦場に取り入れようとしています。

軍用HoloLensの拡張現実で兵士の戦い方は大きく変わる
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米陸軍は2018年11月にマイクロソフト社が開発製造するMRヘッドセットゴーグルHoloLens(ホロレンズ)を10万台購入することを決めました。ホロレンズはゴーグルを通して現実世界に透過した画像や情報を重ね合わせる拡張現実(AR)・複合現実(Mixed Reality)を提供するヘッドセットで、一般向けに既に販売されています。ヘッドセット自体にCPUや通信機器、電力源を持っておりスタンドアローンで使用できます。

Microsoft HoloLens メガネ Glass

米軍はこれを軍用に応用できないかと考えており、統合視覚増強システム(Integrated Visual Augmentation System:IVAS)という名のもとマイクロソフトと共同で開発を行っています。

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全ての機能を備えたヘッドセット

軍用HoloLensの拡張現実で兵士の戦い方は大きく変わる
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戦場の兵士はナイトビジョン、サーマルビジョンの他に無線通信機器、戦術情報を確認するためのモバイルタブレット、GPS、スマートウォッチなど様々なデジタル機器を装備しています。しかし、これら全てをホロレンズが担うかもしれません。

軍用に開発されたホロレンズヘッドセットのゴーグルにはナイトビジョンとサーマルビジョンの双方の機能が備わっており、状況によって切り替えることができます。更には武器の照準を補完し、射撃の精度を上げ、光学機器を必要としません。GPS機能が備わっており、ネットワークと相互リンクにより、現在地のマップと敵味方の位置、方位を示します。他の隊員やドローンの視界を投影することも可能です。

戦場以外ではミッションの計画とブリーフィングのために、ターゲットの3D地形地図をアップロードし、仮想現実(AR)に投影することができます。部隊やドローンから送られてくるエリアのスキャンデータを素早く読み込み、常に最新の情報にアップデートされます。

ここまでの機能は既に実現されており、グリーンベレー、レンジャー、第25歩兵師団、第10山岳師団、第82空挺師団の兵士および海兵隊が既にホロレンズをテストしています。2020年10月末には耐久テストも踏まえ、米陸軍と海兵隊による72時間の訓練ミッションが行われています。

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予定している追加機能

上記以外にも顔認識、テキスト翻訳、生体情報のモニターといった追加機能を予定しています。顔認識は標的を見逃さず、誤認を防ぎます。テキスト翻訳は外国における任務で標識や文書などを通訳に頼らず読解を可能にします。生体情報のモニターは兵士の血圧や脈拍を計測し、兵士の心理状況や負傷時の怪我の程度を直ぐに把握することができます。

これまで兵士は戦場で無線通信やハンドシグナルで頻繁に情報を伝達をし合っていましたが、コミュニケーションは簡略化され、自動的に情報は共有されます。複合現実によって情報は全て視界上に投影されるので、標的、戦場から目線を外す必要がありません。ホロレンズヘッドセットが戦場に導入されれば、兵士の殺傷率、生存率は上がり、戦い方は大きく変わるでしょう。

2021年度に最終テストを予定しており、早ければ2022年には実用化されるかもしれません。

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