イギリス諜報機関の報告によれば、ウクライナ南部のクリミア半島セヴァストポリを母港とする黒海艦隊のキロ級潜水艦がウクライナ軍の攻撃を避けるため、クリミア半島から撤退、ロシア南部に退避させたとのことで、これは事実上の撤退です。
Latest Defence Intelligence update on the situation in Ukraine – 20 September 2022
— Ministry of Defence 🇬🇧 (@DefenceHQ) September 20, 2022
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イギリス国防省は9月20日、英諜報機関の報告として「ロシアの黒海艦隊司令部は、キロ級潜水艦をクリミアのセヴァストポリの母港からロシア南部のクラスノダール地方のノヴォロシースクに移したことはほぼ確実である。」と発表しました。ノヴォロシースクはセヴァストポリから東に直線で約170kmの場所に位置しています。
その理由として「ウクライナの長距離攻撃能力の増加に直面して、地域の脅威レベルが最近変化したためである可能性が高く、実際、過去2 か月の間に、艦隊司令部と主要な海軍航空飛行場が攻撃されました。」と述べています。8月9日にはクリミア中部のノボフェドロフカ付近にあるロシア軍基地のサキ飛行場で大きな爆発が起き、数十機の航空機が損傷。航空部隊はウクライナより遠い南部や東部への移動を余儀なくされました。同月20日にはセヴァストポリの黒海艦隊司令部が無人機による攻撃を受けています。南部へルソンではウクライナ軍が攻勢を強めており、戦線が南下すれば、セヴァストポリがウクライナ軍の長距離攻撃兵器、バイラクタルTB2といった無人機の範囲に入る恐れがあります。そうなれば港に停泊する船舶や潜水艦は格好の的です。特に潜水艦は上空からの攻撃に脆弱であり、虎の子の潜水艦を失えば、黒海の制海権を失ったにも等しいことになります。対潜水艦兵器を持たないウクライナ海軍に対し、キロ級潜水艦は大きな抑止力になっており、ウクライナ海軍の黒海での活動を抑え込んでいました。
mod russia旗艦の沈没など、損失が著しいロシア海軍の黒海艦隊。しかし、同艦隊にはまだ、強力な艦が無傷で残っています。それが、キロ級(キロ型)潜水艦です。この潜水艦をどうにかしない限り、ウクライナは黒海の制海権を握ることはで[…]
英諜報機関によればロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2014 年にクリミア半島を併合した動機の 1 つは、黒海艦隊のクリミア基地を確保することだったようです。キロ級潜水艦に続き、もし他の主要艦までセヴァストポリから移動することになれば、2014年の併合目標だった一つを失うことになります。プーチンはそれを許さないでしょうが、黒海艦隊がもしクリミアから撤退すれば、南部における大転換になります。