イギリス国防大臣のベン・ウォレスは今週、将来の脅威に対応するために英陸軍(British Army)を抜本的に再編成すると発表しました。英陸軍はこれまで歴史的な背景と伝統によって、大きな変化を阻まれていましたが、将来の脅威に対応すべく大きな改革に乗り出します。
この再編は「未来の兵士(Future Soldier program)」と呼ばれるもので、過激派組織やロシアや中国といった敵対的な勢力、次世代の脅威に対抗するために新しい兵器や装備の調達、新たな部隊の創設を行うもので、86億ポンド(1.3兆円)の予算が投じられ陸軍は近代化と再編が行われます。新たな部隊には今年創設された特殊部隊「レンジャー連隊」も含まれています。
「変化する戦争の性格に歩調を合わせるために、われわれの軍隊は、新しい武器や技術と同じくらい、先見性があり、順応性があり、新しい働き方を受け入れなければならない。」とウォレスはガーディアン紙に語っています。
新しい2つの旅団
このプログラムは陸軍をより機敏で、致命的な遠征軍に変えることで能力を向上させ、様々な軍事任務に対応できる近代化された戦闘部隊にすることを目指しています。レンジャー連隊は、12月に新しく設立される”陸軍特殊作戦旅団”に統合されます。更に新しい「ディープ・レック・ストライク旅団(Deep Recce Strike Brigade:DRS)」が2022年半ばまでに設立されます。DRSは敵の指揮系統と補給網の妨害と偵察、非致死的な効果を統合する能力を組み合わせた陸軍の縦深防御に焦点を当てた部隊になります。DRSは、Ajax歩兵戦闘車の強力なセンサーと強化された射撃システムを組み合わせて、大規模な攻撃のために長期的で持続的な偵察と支援を提供します。2022年夏に第一砲兵旅団と第一機甲歩兵旅団が合併して設立されます。
新しい部隊に加えて、最先端の軍事装備も取得することになります。陸軍に導入される新しい兵器には、ボクサー装輪装甲車、チャレンジャーⅡ戦車の近代化アップグレード版になるチャレンジャーIII戦車、アパッチAH-64Eヘリコプター、長距離精密ミサイル、およびいくつかの無人航空機が含まれます。長らく主力小銃として運用されてきたL85ライフルの更新も噂されています。更に今後、10年間でデジタルシステム全体を近代化。世界をリードするサイバー・電子能力を構築します。実験と試験のグループは英国の防衛能力を強化する可能性のある新しい技術をテストすると報告されています。
陸軍は、2025年までに部隊数を現在の82,000人から73,000人に削減、軍の予備軍を30,000人に増やし、総勢力を100,000人規模にすることを計画しています。
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Source
https://www.theguardian.com/uk-news/2021/nov/25/british-army-to-get-extra-8bn-of-kit-as-part-of-radical-shake-up
https://www.army.mod.uk/news-and-events/news/2021/11/experimentation-at-the-forefront-of-modern-british-army/