イギリス陸軍と戦略司令部のイノベーションチームであるjHubは、一人称視点(FPV)無人航空機システム(UAS)のオペレーターを養成するためのjHubドローンアカデミーを新たに創設し、ウクライナで多用されているFPV自爆ドローンのエリート操縦手の育成を始めた。
第16空挺旅団は、コルチェスターのマーヴィル兵舎でスクリーニングセッションを実施し、既存のドローンオペレーターの中から、jHubドローンアカデミーに参加してスキルを伸ばす適性を持つ兵士を選抜した。アカデミーはいわばドローン版の「トップガン」だ。
ドローンアカデミーの創設に関わった戦略司令部のイノベーションチームであるjHubは敵よりも迅速かつ優れた革新的な技術の導入を通じて軍の能力を高めることを目指している。陸軍の戦闘機動センターと協力して、まずは陸軍での養成が始まったが、アカデミーは海軍、空軍と三軍すべてにFPVトレーニングソリューションを開発し、提供する。
現在、陸軍の歩兵部隊には偵察用の「Parrot(パロット)」と「BlackHornet(ブラックホーネット)」の2つの小型ドローンが支給されており、兵士はこの操縦資格を得るために3週間のコースを修了する必要がある。これを修了した兵士は既に一定のドローン操縦技術を持ち合わせているが、FPVドローンには従来のドローンに搭載されているGPSや安定化ソフトウェアがないため、飛行が難しく、新たに操縦技術を学ぶ必要がある。しかし、その分、FPVドローンは妨害を受けにくく、電子機器が少ないので戦場での耐久性も高い。
第2パラシュート連隊大隊(2 PARA)の上級UASオペレーターであるアダム・バーンズ軍曹は「操作は難しいですが、FPVドローンははるかにシンプルで適応性が高く、安価な装備です。熟練した操縦手とドローンがあれば、偵察だけでなく標的への攻撃にも使用できます。砲撃、空爆を要請しなければならないようなシチュエーションでも、歩兵部隊にFPVドローンがあれば、支援要請することなく攻撃することができます。これによりキル チェーンが短縮され、指揮官の選択肢が広がり、リソースをより効率的に使用できるようになります。」と述べた。
一人称視点(FPV)無人航空機システム(UAS)は、仮想現実ヘッドセットを使用して飛行し、小型で機動性に優れており、ホバリング、100km/h以上のスピード飛行しながら戦場で精密攻撃能力を発揮しており、ウクライナ軍に大きな戦果をもたらしている。小型の高性能爆弾を搭載、開いたハッチを通り抜けて内部で爆発し、装甲車両を破壊するなど、高度な操縦技術を習得すればコスパ以上の戦果を上げることが可能だ。価格は数十万からと安く、戦闘における費用対効果は高い。砲弾不足に陥ったウクライナ軍はFPVドローンを多用する事で、量ではな質でロシア軍に対抗した。優れたFPVドローンオペレーターは現代において一流スナイパーより価値が高いとされている。