ロシアの予備役動員兵たちに向かってロシア軍の指導官と思しき女性兵士が放った言葉が話題になっている。
Newly mobilized Russians are told what they need to take to the war. Spoiler – pads and tampons.
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) September 26, 2022
(English subtitles) pic.twitter.com/CumYqqpuit
女性は集まった動員兵に対し、最も安いナプキンやタンポンを買うか、家族に送ってもらうように指示した。彼女が言うには銃創の傷口に直接タンポンを詰めれば、血を吸ったタンポンが膨らみ、傷口に圧力がかかり出血をとめることができるようだ。彼女はこれをチェチェン紛争で知ったとも述べている。まず、この発言を言っている時点でロシア軍には動員兵に回せるほどの包帯、ガーゼ、テープ、止血帯、止血剤を持ち合わせていないことが分かる。これらの救急キットおそらく正規兵に優先的に配布されるのだろう。また、衛生兵が足りていない可能性もあり、戦場で負った傷は自分で何とかしろということだろう。動員兵にとっては何とも過酷な話だ。
ただ銃創にタンポンを詰めて止血するというのは今回、突拍子もなく出てきた話ではなく実はベトナム戦争時から言われていたらしい。実際タンポンで出血を止めることはできるのであろうか。
タンポンとは
読者は男性の方が多いと思うので、念のため、タンポンについて説明する。タンポンは円筒状の綿やガーゼできた女性用の生理用品で、生理の際に出る経血を吸収するための生理処理用品だ。膣内の中に入れ、体の中から経血を吸収する。それに対し、ナプキンは体の外で経血を吸収する。タンポンもナプキンもあくまで経血の吸収するための生理用品であって、経血を止めるものではない。その時点で止血用としては目的外の使い方になる。
タンポンで出血は止められない
1日の経血量は多い日で30mlと言われており、これは一度に出る量ではない。それに対し、タンポンの吸収量は多いもので15ml程度らしい。では、もし、撃たれた時に大動脈を損傷した場合、出血量はどれぐらいかというと、1分間で500~1500mlに達する。タンポンでは瞬時に吸収限界量を超える。そして、タンポンに血を止める効果はないので血はあふれ出てくる。人の全血液量は、成人では体重の約13分の1といわれており、その内20%以上を失うと出血性ショック、30%以上で生命の危険に晒される。
出血を止めるにはまず、傷口を包帯で巻くこと。軍用の救急キットの包帯には止血剤が含まれていることが多く、巻けばある程度出血を抑えることができる。そして、傷口をしっかり圧迫すること、これで確実な止血効果を得ることができる。腕や脚であれば傷口より上の部分を止血帯で巻いて四肢に行き渡る血を止める方法もある。
タンポンで銃創の血を止めるというのは血を吸収するので一瞬止まったように見えるという所から広まったとも言われている。ロシアの動員兵は満足な応急処置方法も教えられずに戦場に放り込まれることになる。
出血した時の応急手当
http://www.city.inazawa.aichi.jp/kurashi_tetsuzuki/anzen/kyukyu/teate/1000916.html