砲弾も物価高!155mm榴弾の価格は2年前の4倍に

砲弾も物価高!155mm榴弾の価格は2年前の4倍に

北大西洋条約機構(NATO)のロブ・バウアー軍事委員長は24日、155mm榴弾の価格が2021年と比較して、約4倍になっていると述べた。世界的な物価高は軍需品にも影響を与えている。

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ドイツの軍需企業ラインメタル社の価格基準になるが、同社が製造する155mm砲弾の1発あたりの価格はロシアによるウクライナ侵攻が始まる前の2021年時は”2000ユーロ”だった。それが、現在の1発あたりのコストは”8000ユーロ”、実に4倍値上がりしたことになる。ちなみに2022年時は3300ユーロだったので、1年で倍以上になった。NATOの軍事ガイドラインによれば、NATO基準の155mm砲で典型的な軍事標的を制圧するには1,000発の砲弾が必要と定義しており、つまり800万ユーロ、日本円で約12億円が必要になる計算だ。ちなみにこの価格なら、GPS誘導砲弾のM982 エクスカリバーが47発、またはHIMARSのGPS誘導ロケットGMLRSを38発購入できる。最近、提供が始まった地対地ミサイルATACMSであれば4発が購入可能だ。誘導弾であれば、ピンポイントで標的を攻撃できるわけだが、どちらを購入する方が得なのであろう。ちなみにロシアの場合、ロシア基準の152mm砲で典型的な軍事目標を制圧するのに必要な弾薬量は1,800発であると定義している。この違いは榴弾砲の正確さと弾薬の質によるものとされる。

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値段が上がった要因には燃料や原料、人件費などの高騰によると世界的な物価高はもちろんだが、戦争によって需要が高まったことが最大の要因であり、ウクライナは1日に数千発の砲弾を発射し、同盟国の生産能力を超えるスピードで消費、需要に対して供給・生産体制が追い付いていなく、コストが増加している。

また、大きな問題として西側各国が製造する155mm砲弾の基準が統一されていないという問題もある。155mm口径はNATO基準で日本をはじめ、西側各国の榴弾砲は155mm口径に統一されているが、バウアー氏によれば実際には互換性のない155mm弾薬が14種類あるとのことだ。弾薬の規格についてNATO基準は定められているが、それをメーカー側が順守するかは任意であり、強制ではない。そのため、製造技術の点で互換性がない可能性があり、おそらく起爆装置や高性能爆薬に互換性がない可能性があるとされている。バウアー氏は、標準化が形骸化しているのは、NATO諸国がGDPの3~6%を軍事費に費やした冷戦以来、軍事費を大幅に縮小したことで防衛産業が縮小し、企業が効率化とコスト削減に至った結果だという見解を述べている。

しかし、今回の戦争で各国の防衛費が大幅に増加したことに触れ、今後15年間は業界が稼げる十分な資金があると確信していると述べた。西側諸国は砲弾の生産量を増やすために生産体制の拡充を急いでおり、更なる量産が進めば、1発あたりの単価は下がってくるだろう。

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https://www.reuters.com/world/nato-urges-common-standards-curbs-protectionism-boost-artillery-output-2023-10-24/

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