中国軍機が日本領空に侵入!領空侵犯による撃墜は可能?近年の撃墜事例

画像:防衛省

防衛省は令和6年8月26日月曜、中国人民解放軍のY-9情報収集機が、11時29分頃から11時31分頃にかけて、長崎県男女群島沖の領海上空を侵犯したことを確認したと発表した。中国軍機による日本の領空侵犯の確認は初になり、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進し、中国軍機に警告した。

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領空侵犯は重大な主権侵害行為であり、領空侵犯機を着陸、または上空から退去させるための必要な措置として、正当防衛または緊急避難の要件を満たす場合、武器の使用ができると防衛白書に記している。つまり、撃墜も辞さないことを明示している。ただ、領空侵犯したからといって、いきなり撃墜するわけではない。まずは侵犯機に対し、領空から退去するよう警告、または着陸指示を行う。それにも従わない場合は警告射撃を行う。実際、1987年にソ連機が領空を侵犯した際、航空自衛隊のF-4戦闘機が、自衛隊史上初となる20mm機関砲による警告射撃を行っている。冷戦下だった当時はソ連機による領空侵犯が度々起きており、ソ連機による領空侵犯は20回目だった。侵入を繰り返したソ連機に対し、F-4は二度の警告射撃を実施、その度に、ソ連機は離脱している。もし、この時、ソ連機が離脱していなければ、撃墜命令が下ったかもしれない。日本はこれまで領空侵犯機を撃墜したことはないが、世界では撃墜事例がいくつかある。

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トルコ空軍のF-16戦闘機がロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機を撃墜

2015年11月24日にトルコ・シリア国境付近でロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機がトルコ領空を侵犯したとしてトルコ空軍のF-16戦闘機によって撃墜されている。トルコ軍は5分間に渡って領空外に出るよう10回の警告を発信。しかし、ロシア軍機が指示に従わなかったため、交戦規定に沿って撃墜した。Su-24のパイロット2人は脱出するも、パラシュート降下した場所がシリア反体制派武装組織の支配地域になり、パイロットは殺害されている。ロシアはトルコの隣国であるシリアのアサド政権を支援するため、シリア紛争に介入しており、撃墜される前もアサド政権に敵対する勢力に空爆を行っていた。ロシアは当初、領空侵犯を否定したが、NATOの分析でも侵入が確認されている。また前月の10月には二度、トルコ領空に侵入するなど前科があり、この時はパイロットの操縦ミスとしてトルコ側に謝罪していた。トルコは次の領空侵犯は容認しないと警告を与えていた矢先だった。

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ベネズエラ空軍による所属不明機の撃墜

ベネズエラ空軍は2024年3月と5月に、領空侵犯したとして所属不明機3機を撃墜している。撃墜された機体はどれも識別コードなしで低空飛行し、トランスポンダーをオフにしていた。ベネズエラ空軍はF-16戦闘機を出撃させ、不明機に対し、着陸するよう指示するも命令に従わなかったため、攻撃、撃墜した。撃墜された航空機は犯罪組織によって運航されていたものとされ、ドラッグなどを運搬していたとベネズエラ当局は推測している。

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米空軍のF-22による中国の無人偵察気球の撃墜

これまで紹介した2つの事例は有人機による領空侵犯になるが、2023年2月4日にはアメリカ空軍のF-22ラプター戦闘機がアメリカ領空に侵入した中国の無人偵察気球を撃墜している。気球は撃墜の3日前の1日にアメリカ本土上空で発見、即座に迎撃が検討されるも撃墜すれば人口密集地に被害が出る恐れがあるとして、大西洋上に出るまで待って短距離対空ミサイルAIM-9Xサイドワインダーで撃墜している。中国当局は気球が自国の物と認めており、気候の影響で不可抗力によって米国領空に侵入したと発表、撃墜した事を批判した。ちなみに中国の偵察気球は日本領空でも確認されており、2019年11月、2020年6月及び2021年9月に確認した気球が中国の偵察気球である事を2023年2月に防衛省が認めている。しかし、この時、日本政府は安全保障上の脅威にはあたらないだろうと何も対応をとらなかった。その後、武器使用基準を見直し、ドローンや気球といった無人機に対して、国民の生命や財産を保護し、航空機の安全な飛行を確保するためであれば、正当防衛や緊急避難に該当しなくても武器が使用できるとした。

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