2019年7月に竣工したフランス海軍の新型の原子力攻撃潜水艦「シュフラン級」(Classe Suffren)の1番艦が、4月28日に潜水試験を実施した。シュフラン級はリュビ級原子力潜水艦と替わる次期攻撃型原子力潜水艦になる。
⚓️ The #Suffren sets out for the first time to conquer the sea! ⚓️ pic.twitter.com/g7lQ0Ns37z
— Naval Group (@navalgroup) April 29, 2020
開発元のナベルの公式Twitterによると潜水試験では、推進システムを使用せずに潜水艦の静水圧タンクが完全に水没するまでの水の流れを制御することが含まれていたと報告されている。試験では、潜水艦の水中安定性を調べ、バラスト内の水量を決定した。そして、水中における水密性、操縦性、そして戦闘システム、戦術兵器が正常に稼働するかがテストされた。今回のテストを前に既にドッグ試験を実施しており戦闘システム、動力システム、生命維持システムとさまざまなシステムと機器の正常な動作を検証していたと述べている。原子炉は2019年12月に点火している。
次回のテストでは大西洋に出て水中での操縦性がチェックされ、第二段階のテストでは地中海にて兵器システムの試験を行う予定になる。コロナの影響で予定よりは遅れているが2020年中に海軍に引き渡され2021年から配備される予定になる。
仏軍の次期主力潜水艦
開発を行ったのはフランスの防衛関連の造船企業であるナバル・グループ(DCNS)になる、DCNSは仏政府が株式の75%を保有するいわば国営企業だ。DCNSはオーストラリア海軍の新型潜水艦プロジェクトでドイツと日本を破って受注したことでも有名になった。
建造に20年を費やした
シュフラン級はもともとバラクーダ級と呼ばれていた。DCNSが設計し、1980年代から30年以上運用されているリュビ級原子力潜水艦(Classe Rubis)の後継として設計された。設計作業は1998年に開始されたが、冷戦の終結後、洋上でのフランスの軍事的脅威はなくなり、その間、経済危機といった財政上の問題が発生するなどして完成までに20年以上を費やした。 その間に名前も変わり、18世紀のフランス海軍の提督ピエール・アンドレ・ド・シュフランから名前をとりシュフラン級と改名された。
計6隻の建造を予定しており、総予算は91億ユーロになる。開発費を除くと1隻あたりの建造予算は10億ユーロになる。2030年までに全6隻を配備する予定だ。
耐用年数は10年。自律航行日数は70日になる(リュビ級は45日)。女性士官のための女性用キャビンも設けられる。
・全長:99.5m
・直径:8.8m
・排水量:水上4650トン、水中5300トン
・潜航深度:350m
・速度:27ノット(50km/h)
高度なステルス機能を擁しており、艦の発するノイズは海老の音以下とDCNSは述べている。
兵器
・4 x 533 mm魚雷発射管
・F21 魚雷
・海軍巡航ミサイルMDCN
・対艦ミサイルSM-39 Exocet
対水上戦、対潜戦、対陸上の攻撃能力を持ち、MDCN は戦略目標地点への長距離(1000km以上)攻撃が可能になる。機雷の設置も可能。また、特殊部隊を水中から秘密裏に展開するための2つのドライデッキ・シェルター(DDS)も備え付けられる。10名まで搭乗可能になり、海軍の特殊部隊「海軍コマンドー」を伴った特殊作戦、情報収集の作戦行動能力を擁する。