ウクライナ国防省の発表によるとウクライナ空軍のF-16戦闘機が1回の出撃でロシア軍が放った6発の巡航ミサイルを撃墜した。F-16戦闘機の一度の出撃での撃墜数としては新記録になる。20mm機関砲も使用されており、F-16の機関砲による撃墜は史上初だ。
F-16—Ukrainian pilots set records.
— Defense of Ukraine (@DefenceU) January 7, 2025
During a massive missile attack on December 13, 2024, an F-16 fighter jet destroyed six cruise missiles in a single combat sortie. This marked the first time in the history of Fighting Falcon operations.
📷: UA Air Force pic.twitter.com/GD7iWci66Y
昨年2024年12月、ロシアはウクライナ全土に向けて無人機やミサイルによる大規模な攻撃を行った。報道によると200機以上の無人機、94発の巡航・弾道ミサイルが発射され、ウクライナ侵攻以降、最大規模の攻撃とされる。ウクライナ軍はこの内、無人機27機とミサイル87発を撃墜したと強調している。この内、ミサイル11発を撃墜したのが、F-16戦闘機だ。迎撃に何機のF-16が出撃したのかは不明だが、1機のF-16が一度の出撃で巡航ミサイル6発を撃墜しており、F-16による撃墜の半数以上を1機だけで達成している。ウクライナ国防省はこのF-16の戦果の一部を明らかにした。
6発の内訳は空対空ミサイルによって4発、20mm機関砲によって2発を撃墜したと発表している。パイロットによれば「照準士官が私を敵の標的に誘導した。しかし、レーダーは干渉を感知し、ミサイルが電子妨害装置を装備していることを示していました」と説明しており、電子妨害があったと報告している。「最後のミサイルを発見したとき、残っているのは機関砲だけだと気づいた。私はその速度と軌道を考慮して標的に狙いを定めた。機関砲が数発発射され、爆発を見た。」と当時を振り返っている。F-16の機関砲による空中標的の撃墜はこれが初だ。F-16には最大6発のAIM-9サイドワインダー、またはAIM-120AMRAAM空対空ミサイルを搭載できるが、当時、4発しかミサイル搭載していなかったのかどうかは分からない。パイロットの戦果は英雄勲章授与をされるに値するが、パイロットの安全のため、その名は明かされていない。
ウクライナは2024年7月末までに10機のF-16を受領、8月から運用を始めている。しかし、8月の初陣で1機を失っている。NATOは75機のF-16の供与を表明しており、2024年末まで計20機が納入される予定と発表されていたが、その内の一部の納入を予定していたベルギーが2025年以降になると遅延を発表している。ベルギー国防省によれば、遅延の原因はさまざまな要因があり、主に十分な訓練を受けたウクライナ人パイロットの不足とスペアパーツの不足だという。 現状、ウクライナ空軍の何機が納入されいるのかは不明だが、少なくとも予定数には達していない事は明らかで、F-16の活動報告も少ないため、他の国の機体の納入も遅れている可能性が高い。ロシア軍は昨年12月27日に南部ザポリージャでF- 16を撃墜したと発表している。ロシア国営メディアも報じているが、撃墜確認はとれておらず、真偽は不明だ。